第2章 不言色 ―いわぬいろ―
「あ…」
「あ~、それさ、今買って来たんだ…それで、遅くなっちゃったって言うかさ…」
相葉さんが今夜のために買って来てくれたもの…
それは、ローションでも、コン〇ームでもなく、
トランプとUNOだった。
なんか、拍子抜けっていうのかな?
ドキドキして、ぐるぐる悩んでたのが、馬鹿らしくなってきて…
笑う俺に、相葉さんは、
「…えっと?いらなかった、のかな?」
困ったように眉を下げた。
「そんなことないよ…嬉しい。やろっか?」
「うん、いいよ!」
ババ抜きを何回かした。
ふたりだからさ~、どっちがババ持ってるかなんて分かりきってることで…
「……えっと~…こっち…かな?」
「…ふふっ…」
「やっぱ、こっち、かな~?」
「ほら…早く!」
「よ~し。決めた!これだ!!」
「ええええ~!また負けぇ~!」
連続4回とも、相葉さんの負け。
俺の思うように引くし、引けるし。
「こんな弱い人、初めて会ったよ」
「よし!今度は俺が切るよ!」
「何でだよ~、別に小細工してないけど~?」
「いや!念を入れて切れば」
「ふふふ…同じだって…」
「貸して!!」
ムキになっちゃって…子どもみてぇ~
笑いながらトランプの束を渡そうとして、手が滑った。
「あっ…」
「おっと!!」
ばらまかれたカードの海の真ん中…
見つめ合う俺たち。
カードを落とすまいと突っ込んできた相葉さんは、俺の手首を掴んで、結局カードは滑り落ち…
「……」
「………」
一気に来た、甘い空気…
「………」
見つめる俺に、相葉さんの瞳はゆらゆらと揺れた。