第2章 不言色 ―いわぬいろ―
「ごめんね~、おまたせっ!」
戻ると、ニノは大きなソファの端っこに、所在無さげにちょこんと座っていた。
「あ…」
声をかけると俯いていた顔を、ぱっと上げ。
俺を見て、途端に顔を真っ赤に染める。
「あ、ちょっ、と…なんで、裸…」
「え~いいじゃんっ!どうせすぐ、脱ぐんだしっ!」
大股で近付いて、わざと乱暴にどかっとニノの隣に座り。
肩に腕を回してぐいっと身体を引き寄せた。
「あっ…」
耳まで真っ赤にして、顔を背けようとするから。
肩を掴んだ手とは反対の手で顎を掴み、逃げられないようにする。
「逃げんじゃねぇよ」
腹に力を入れて、いつもより数倍低い声を出すと、逸らしたままのニノの瞳がゆらりと揺れて。
ゆっくりと、眼差しが俺へと戻ってきた。
「…相葉、さん…」
水分量の多い瞳が、誘うように俺を見つめる。
「雅紀って、呼べよ」
「…まさ…き…」
少し震える声で、名前を呼んでくれて。
一気に、身体がかぁっと熱くなった。
うわ~っ!
堪んねぇっっっ!
「うわっ!ちょっとっ…!」
気が付いたら、その華奢な身体をお姫様抱っこしてた。
「やっ…下ろしてっ…」
恥ずかしいのか、バタバタと暴れるから。
「おとなしくしないと、落っこちちゃうよ?」
わざと腕を緩めれば。
「ひゃあっ…」
すがるように、俺にしがみついてきて。
ホテルの備え付けのシャンプーの匂いに混じって、ふわっと微かに甘い匂いがした。
瞬間、どくんっと心臓が跳ね上がった。
やばーいっ!!
今ので、一気にきた!!
「…雅紀?どうしたの?」
「いや、なんでも…」
一気にマックス状態になった俺のオレを、若干内股になりながら隠して。
ベッドへ、向かう。
本当は、お姫様みたいにそっと下ろしてあげたいんだけど、リクエストがワイルド系だから…
ちょっと乱暴に、放り投げるみたいにして下ろした。
「あっ…」
ベッドの上のニノは、怯える仔犬みたいな頼りなげな視線を俺に向けて。
右手を、伸ばしてくる。
「雅紀…」