第2章 不言色 ―いわぬいろ―
覆い被さると。
消し忘れた蛍光灯の光を反射して、キラキラと夜空に煌めく星みたいな瞳が見上げてきて。
それに吸い込まれるように、唇を重ねた。
何度か啄むように擦り合わせてると、誘うみたいに唇が薄く開く。
すぐにでもその中に舌を突っ込みたいのを、なけなしの理性をかき集めて堪えた。
だってさ
カッコ悪いじゃん!?
お客さんに翻弄されるなんて…
俺だって一応は素人じゃないんだからさ
もうちょい余裕を…
なんて考えてると。
熱い腕が、強く背中を引き寄せて。
強引に唇を割って、ニノの熱い舌が俺の口んなかに入ってきた。
「んんっ…!」
まさか、そっちからそんな積極的にくるなんて想像もしてなくて、一瞬頭が真っ白になる。
その間に、ニノの舌は俺の舌を探り当てて、絡めとってきた。
「んっ…」
思わず声が漏れちゃうと、俺の背中に回ってた腕にまたぎゅっと力が入る。
そのまま激しく舌を絡め合ってると、頭がボーッとしてきて。
やば…
この子、すげーキス巧い…
このまんまだと、主導権を握られるぅっ!
慌ててニノの舌を追い出して、今度は俺の方から彼の口んなかに舌を突っ込んだ。
歯列をなぞり、甘い唾液を啜ると、ピクピクと震える。
その反応が、すげー可愛くて。
もっともっと気持ちよくしてあげたくて。
キスを解くと、そのまま首へと唇を滑らせた。
「んんっ…」
話す声より少し高い、可愛い声が漏れた。
頸動脈をねっとりと舐めながら、シャツのボタンを一つずつ弾き。
シャツの下から現れたのは、目眩がするほど真っ白な、絹のようなきめ細やかな肌。
思わずそれにかぶりつきたくなっちゃって、必死に自分を押し止める。
一応、痕をつけるのは確認してからじゃないとね
ほら、見られたら困るお仕事の人だっているわけだし
「ねぇ…痕、つけてもいい?」
確認のために訊ねたら、もう欲に濡れそぼった瞳が睨むように見上げてきた。
「っ…なんで、そんなこと聞くの…?」
「だって、ニノが困ることは出来ないから」
そう答えると、なぜか切なそうに目を細めて。
ふいっと、視線を逸らされてしまった。
「…いいよ、別に…」