第2章 不言色 ―いわぬいろ―
【雅紀side】
やっべーーーーーー!
きたよきたよっ!
俺のドストライクゾーンッ!!!!
脱衣所で服を脱ぎながら。
俺はつい数分前の、初めてニノを見た瞬間を頭んなかで反復した。
ドアを開けたときの、ちょっと怯えたような顔。
泣く直前みたいに潤んだ、仔犬みたいなまぁるい瞳。
緊張からか、ほんのり赤く染まった頬。
胸元でぎゅっと握られた、男にしちゃ丸みを帯びた手。
見た瞬間、きゅーんと胸を締め付けられるような感覚がして。
思わず、心の中でガッツポーズをした。
話してみると、声は想像してたより少し高くて可愛いし。
不安そうに揺れる瞳が、母性本能擽られるっての!?
まぁ、俺、男だけど…
とにかくもう、めちゃめちゃ可愛がってやりたい!って感じ。
しかもさ、今日は俺が攻めでいいって!
「ぐふふ…」
これから始まる楽しい時間を想像して、思わず変な笑い声が漏れちゃった。
さっさとシャワーを済ませちゃおうと風呂場のドアを開くと、中はほんのり温かくて。
ついさっきまでニノがそこにいたんだって、そう教えてくれて。
俺とあんなことやこんなことを想像しながら、お尻の中、洗ってくれてたんかな~なんて想像してたら…。
勃っちゃった!!!
「おまえ~、早すぎっ!」
さすがに最初っからおっ勃たててんのは引かれるかもしれんと、慌てて想像を頭から追い出して。
修行僧になった気分でお経を唱えながら、なんとかソイツを宥める。
そうして、素早く身体を洗い、お湯が張られたバスタブを横目に風呂場を後にして。
備え付けのバスローブを羽織ろうとして、はたと手を止めた。
そういや、今日のリクエストはワイルド系だったな…
バッキバキに割れたシックスパックの腹筋を、鏡越しに眺めてみる。
最近、ちゃんとジム通ってたし
出来上がってんじゃん、俺!
これならきっと、ニノも満足してくれるはずっ!
俺は、バスローブを籠に戻して。
タオルを、腰に巻いた。