第2章 不言色 ―いわぬいろ―
俺はホテルのベッドに所在なげに座っていた。
シャワーも済ませた。
準備万端過ぎる自分が妙に恥ずかしくて、何をしているのが正解なのか分からなくなっていた。
……………
そうだ。
ビールでも飲んでようか。
そう思って冷蔵庫を開けた瞬間、部屋のチャイムが鳴った。
……き、来た!
緊張を紛らわすために深呼吸して、ドアを開けた。
「どうも。二宮さん?相葉です」
「ど、どうぞ…」
「お邪魔します!」
この人が……
緑の……あいば まさき…
「わあ〜、こんな可愛い人で嬉しいなぁ〜♪夕べなんか、ゴリゴリの…
あっ、すみません!最初にシャワーさせてもらっていいですか〜?
えっと、バスルームは…こっちかな?」
固まる俺を残して行こうとし、慌てて戻ってきた。
「えっと、ごめんね!何か舞い上がっちゃって。今日は、エッチでいいんだよね?」
「え、エッチ、って…」
「違うの?」
「…いや、違わない、けど」
「あー、よかった!いろいろ段取りすっ飛ばしちゃって。ホントごめんね!
えっと、……これ…」
そう言いながらリュックから出した紙を俺に手渡した。
「二宮さんのリクエストでやりますので、どれがいいです?」
どれが……って…
相葉さんがくれたそこには、
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1. 今夜の俺は、
① 受け ② 攻め
2. シチュエーション
① ワイルド系
② にゃんにゃん系
③ ソフトなホスト系
④ 朝までノンストップ
⑤ その他のリクエスト
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紙をじっと見ている俺に、
「ホントはもっとあったんだけどね〜こんなにあってもえらべねぇわ!って苦情がさ。
他でも、二宮さんの好きなのあったら遠慮なく言ってね!頑張るから!俺」
………
ホントは④って言いたいところだけど。こいつスゲーエロいじゃん!
って思われてもなんだし…
とりあえず、無難な…
「じゃ、②の①…で…」
「OK♪ワイルドに攻めちゃうよ〜!」
…ワイルドな、攻め…
ヤバい。顔が赤くなった…
「あ、そうそう!二宮くんのことは何て呼べばいい?」
「…カ……ニノ、で」
「じゃ、ニノ♪シャワーしてくるわ!待ってろよ!」
……もう、始まってんのかな?
俺を指差しながら、相葉さんはバスルームに消えた。