第1章 協奏曲 ─concerto─
ちゃんと聞いたことはないけどさ、
智くんは俺と付き合う前に、何人か恋人がいたらしい…
もちろん、男。
俺は、男は彼が初めてで。
最初はいろいろといっぱいいっぱいだった。
そんな俺のこと、さりげなくリードしてくれてたこと…分かってたよ?
分かってたけどさ…
やっぱそこは、男のプライドっていうの?
『次はどうすんの?』なんて、簡単に聞けなかったっけ……
それが今では…
「どこがイイの?…言ってごらん?」
な〜んて。簡単に言えるようになったし…智くんも、
「ああっ…翔ちゃん…ソコ
もっと、突いてぇ~♡…」
こんな声も平気で聞かせてくれるようになって…
嬉しい反面、こんな声を聞いたヤツがいたんだって、
そう思うと、やっぱ妬ける…
でも、そこはね?
言いたくないじゃん!
ちっせえ男だって思われたくないし…何よりも、智くんの愛を疑うようなことしたくない…
俺のこと、大好きだって…分かってるからさ。
まあ、ニノのことは、ちょっと面白くないけどさ…
「…ねえ、さっきから、なんか…違うこと考えてるでしょ?」
「え?…そんなこと…んんっ///」
「だって、心ここに在らずだったもん!」
「…だからって…そんな、締めんなってば…」
「だって!俺に集中しないんだもん!」
「する…から…そんな締めると、もう出すぞ!」
「やだ~!今日は一緒がいいもん!」
締め付けを解いた智くんが、可愛い唇を窄めるから、チュッと軽い音を立てて触れるだけのキスを落とした。
「あん!…もっとぉ~♡」
キスを強請る智くんは、俺に向かって両腕を伸ばす。
その手を取って、彼の身体をひっくり返した。