第1章 協奏曲 ─concerto─
「翔ちゃん、お肉焼けたよー」
「おう、さんきゅー」
「あ、このとうもろこしも、いい感じ!」
「俺のことはいいから。智くんも少し食べなよ」
せっせと世話を焼く俺を、翔ちゃんがちょっと困った顔で制する。
「俺はいいのっ!翔ちゃんに食べてもらいたいのっ!」
「もう…いつもはボーッとしてて誰かに世話焼いてもらうばっかなのに、なんで俺のことはそんなに世話焼いてくれんの?」
「だって、翔ちゃんの嫁だもん、俺」
翔ちゃんのためなら、いつだってなんだってがんばれるんだからっ!
「…なにそれ」
高らかに宣言した俺を、翔ちゃんは照れ臭そうに頬をピンク色に染めながら見つめて。
「おいでよ」
だいぶ恥ずかしそうにしながらも、俺に向かって両手を広げてくれた。
「うんっ!」
最高に居心地のいいそこにダイブすると、ぎゅって強く抱き締めてくれる。
最近、すんごく筋肉モリモリになってきた胸に頬を擦り寄せると、とくんとくんと規則的な鼓動が聞こえてきて。
なんか、安心する…
「…智くん、顔あげて?」
大好きな体温に身を任せていると、翔ちゃんの長い指が俺の顎を掬った。
誘われるように視線を上げると、息が掛かるほど近くに大好きなイケメンのドアップ。
「しょう、ちゃ…」
「目、閉じて…?」
熱い吐息混じりの声が、鼓膜を揺さぶる。
キス…してくれんのかな…?
「ん…」
ご要望通り、目を閉じて。
唇をちょっと突き出してみた。
「…口、開けて?」
翔ちゃんの声に、ちょっぴり笑いが混じった。
え?
いきなり舌入れてくんの?
それもいいけど…ちょっとムードないなぁ…
なんて不満に思いながら。
それでも言われた通りに、尖らせた唇をちょっと開くと。
「んぐっ…!」
いきなり、熱々のお肉が口のなかに入ってきた。
「あっちぃっ!!」