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イチオクノホシ【気象系BL】

第3章 Kissから始めよう


【翔side】

知念ありきで盛り上がった企画の『メイドカフェ』は、思わぬ方に舵を切った。

覚悟を決めてピンチヒッターをやることになり、衣装に着替えてみたら…

自分で言うのも何だけど、意外にイケてた。

知念には負けるだろうけど、鏡に映った自分を見て、これなら来てくれた客もガッカリしないかも…

なんて、思ってたのに…

それなのにさぁ…


「はい、√4は〜?」
「「……??」」
「なんだよぉ〜、2だろ〜?」
「はあ~?分かりにくいわ!」

自撮り棒を片手に、来てくれた友達と、ふざけながら写メを撮っている松本を見ていると、自然と笑みがこぼれた。


いつもたくさんの仲間に囲まれている。

ぶっきらぼうでやんちゃ…
だけど誰よりも優しい松本。

そんな彼を慕って集まってくるやつは多くて…

俺は、その中には入っていけなかった。
心の中では、羨ましいと思っていたくせに…


その訳が、
今、
分かった。


その他大勢になりたくなかったんだ…
自分でも気づかないなんていう、俄かに信じがたいおマヌケな状況を認めるのならば、

俺は最初っから、松本潤の『特別』になりたかったんだ。


「櫻井!アップルジュース2つね~♪」
「お、おう…」

「松潤~、さっきから翔くんにしかオーダー出さんやん!贔屓や~!」
「うっせ!いいんだよ!!」

松本は、村上と軽口を言い合って笑っている。


……ああ…やっぱり、いいな…

好きだな…彼の事。


胸の奥がズキンッ…と、鈍く痛んだ…

初めての気持ちに気付いたのに、同時に、それを失う痛みを知るなんてな…


悲しいけど、
自分の思いに気付けたことも…
相手が松本だって思うことが、何だか嬉しかった



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