第1章 蒼い瞳
少佐が打ち上げた照明弾。
細く糸を引いた弾頭が、星夜を裂いて花が咲いた。
その強い光に照らされた少佐の影が、ゆっくりとこちらに振り向く。
その姿は、とても美しく、とても厳正で……
パーン!!!
「!!」
ガタンゴトン、ガタンゴトン…
「………………」
車窓から望む幼い夕日。
鉄橋に遮られて、ヴァイオレットの顔にチラチラと陰を落とす。
向こうの席が騒がしいのは、走行の弾みでトランクが開いてしまったからで、近くにいた何人かが拾い上げて持ち主に渡している。
「大丈夫かね?お嬢さん」
「…?」
「いやぁ、すまん、すまん。つい声をかけてしもうた。歳老いた弊害じゃの」
ガタンゴトン、ガタンゴトン
「…いえ…問題ありません」
すまんのぅ、と人懐っこい顔をした老士が、向かい合った座席に座るのを見逃した。
「どこから来たんかね」
「ライデンです」
「そんな遠くから。そりゃあ眠たくもなるわな」
「……私、眠っていたのですか?」
「??そう見えたがの?」
「…そう、ですか」
ガタンゴトン、ガタンゴトン