第1章 蒼い瞳
大戦後、退役したホッジンズ中佐が興したC.H郵便社がライデンにある。
通常の受け付け、配送の他にある大切な仕事。
バァン!!!
「だから!何なのよ、これは!!!」
「手紙です」
「これのどこが手紙なわけ!!?」
「お客様が仰った通りに報告を」
「バカじゃないの!!!?」
手紙の代筆。
それは自動手記人形からサービスとして生まれ、代筆を担う彼女たちはドールと呼ばれている。
しかし、彼女が書いた初めての手紙は、とても手紙とは言えなかった。
「こんなの、ただの報告書じゃない!!!」
「……申し訳、ありません。私には、人の心と言うものが分からず…」
「だったら人形の方がまだマシよ!!!自分が書いたやつ、読んでみなさいよ!!!バカにしないで!!!!」
「……………」
怒って帰ってしまうお客を、カトレアさんが謝り倒しながら見送った姿は、今でも覚えている。
アイリスとエリカが、彼女の書いた“手紙”を見て面食らった様子も、彼女の俯く姿も、なぜかずっと忘れられずにいた。
彼女に会いたくなったのは、この日のことがあったからかもしれない。