第3章 ヒペリカムの咲く庭で
コッコッコッコッ…
ギィィ…バタンッ
「……………………フ…ッ」
………何よ。
今に始まったことじゃないじゃない。
あの子はあの子。何も変わってない。
それを本当は望んでいたくせに。今さら虚しくなることも無いでしょうに。
……そうよ。きっと何も変わってない。
あの子は、ラブレターを報告書として書く子だもの。
コツ、コツ、コツ、コツ、パフン
「……認定のバッジを付けてても、そもそもそのドールの試験だって、本当に受かってるかどうか…」
『……どうして…?』
「…………大丈夫よ、ヴァイオレット」
『お母さん……』
「私が教えてあげるわ。………絶対に」
『わたしを』
「届けられない手紙もあるんだってこと…」
『……わすれたの………?』