第1章 蒼い瞳
『…本気なのか、ギルベルト』
『もちろん。この戦争が終わったら、退役してヴァイオレットと生きる。もう決めたんだ』
『……そうか』
(あのときのギルベルトを、どうして今思い出すんだ…)
ホッジンズ中佐にそう告げた後、ギルベルト少佐率いる隊がインテンスの総本部要塞を攻略。双方に多数の死傷者を出しながら、闇夜を切り裂く一筋の照明弾を、ホッジンズは見た。
『突撃ーーーーッ!!!!!』
ホッジンズの号令で後方部隊が要塞へ踏み込むと、大きな爆発があちこちで起こった。敵の撤退直前、やぶれかぶれでやられた最後の攻撃だった。
そのまま要塞は炎の中で崩れていき、漆黒の夜は地獄の業火とも思えた。
(あのとき、ヴァイオレットちゃんはギルベルトと一緒だった。最後にアイツが何を言ったのか…)
バタンッ!!!
「!」
ドアが乱暴に空いた音で、あの夜から一瞬にして戻ってきたホッジンズの目に、息を切らしたカトレアが映る。
「社長!!!ヴァイオレットが……っ」
「ヴァイオレットちゃんが、どうか…………っ、まさか」
「あの子、行ったのよ!ミオソティスの所へ…っ!」
「……っ」