第7章 目覚めよ、汝
「噛んじゃ駄目だってば」
唇を噛んで睨みあげれば。
そう意地悪に笑って。
蓮は今しがた噛んでいた唇をペロリと、舐めていく。
「震えてる?」
「気のせいでしょ?」
「そう?」
「━━━━━━っ!?」
途端。
蓮の指先は下着をずらしなかへと入り込み、唇は、胸の頂を尖らせた舌先でつついていく。
「大丈夫、安心してよ真白」
「……っ?」
ぐちゃぐちゃと、聞こえる厭らしく卑猥な水の音。
胸の先端には蓮の唇で。
そのまま話、するから時々蓮の歯が、あたる。
わざとなのか偶然なのか、時々あたる硬い歯が、更なる高みへとあたしを連れていくんだ。
指先は激しさを増し、的確に気持ちいい場所を擦りあげる。
正直立ってるのがやっとで。
だけどこのまま蓮の右足に体重をかけるのも、癪にさわり、かろうじて残る理性で両足に力をいれた。
だけどそんなもの、ただの時間稼ぎにすらなりやしない。
蓮の指は。
舌は。
いつだってあたしを高みへと、連れていくんだから。
「限界っぽいね、真白」
「どこが……っ、こんなの、全然へー、き……っ」
「そっか、良かった」
「……っ!?」
笑いながら、指先は奥をぐりぐりと、抉るように暴れまわり。
胸に吸い付く唇は、先端に歯を当てて柔く、食む。
体に全身の熱が駆けあがってくるのを感じた、瞬間。
「………ぇ」
それは。
それらはあたしから全て、離れた。
「はじめからイかせてあげる気、なかったんだ。真白もイくの、嫌みたいだったし良かった」
悪びれもなく笑うそれは、子供のように屈託がなく。
大人のように、官能的で。
まるで悪魔のようにも、見えた。