第4章 ………聞いても、いい?
「━━━━━ッッ」
何。
息、くるし……っ
首へと回された掌は、親指と人差し指に力がこめられて。
容易に喉を圧迫する。
「言ったでしょ、気をつけてって。あれさ、俺も含めて、だからね?」
「……………ふ…っ、んぐ…」
ギリギリと圧迫された指先に力がこめられて。
本気で殺意を感じた瞬間。
喉を圧迫していた掌も、両手を押さえつけてる掌も両方、離された。
途端に床に座り込む体。
やっと入ってきた酸素をいち早く取り込もうと、喉がのざえる。
むせこむ。
足に力が、入らない。
手が、体が、震えてる。
「分かった?人間て、けっこう簡単に死んじゃうんだよ?」
「………っ」
同じように膝を折り曲げて。
あたしと視線を合わせるとれいはにこりと微笑んで頭を撫でた。
「………ごめんね?怖がらせて」
困ったように苦笑して。
人差し指で、涙を拭っていく。
「…………」
なんで。
傷付けられたのはあたしの方なのに。
あんたがそんな傷付いた顔、すんのよ。
悲しそうな顔、すんのよ。
「覚えといて」
「━━━━━待って!!」
背中を向けるれいに、思わず伸ばした右手。
消えちゃう、って。
思った、から。
だか、ら。
でも。
「何?」
「あ、ぇ、と……」
引き留めたところで、引き留めた理由が見つからない。
なんで、手伸ばしたんだろう、あたし。
「真白?」
「ぁ……。聞きたいこと、あって」
「うん」
「そ、の…。1日、いっかい、しなきゃ、死んじゃうって」
「うん。━━━━あ、したいの?」
「…………絶対違う」
「残念、じゃぁ何?」
「うん。思ったん、だけど。あたし入院中って別にれいに触れても、ないと思うんだよ、ね」
「うん、そうだね」
「………死ななかった、よ、ね?」
「………」
あ、れ?
また悲しそうな、顔。
なんだろう。
さっきもこの顔。
「れい?」
「真白は俺とすんのそんなに嫌だった?」
「え」
「嫌?」