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地縛霊は孕ませたい!?

第3章 気持ちいいって言ったら許してあげる



「真白ちゃん、気分悪いって聞いたけど、もう大丈夫なの?」
「うん、大丈夫」
「大丈夫だって雛。浮気する元気あんだもん」
「浮気じゃないってば!!ちょっと!あんたからもなんか言ってよ」


「…………」



何、その意味深な間!
ふたりとも本気で怪しんじゃってんじゃんっ


「ないよ、なんにもっ」


変な空気、持ち込まないでよね。
バカ。


「………婚約者には、バレないようにねー」
「バイバイ、真白ちゃん」


「待って!!ほんと違うの!!」



「……あーあ、誤解されちったー」


誰のせいよっ!!
「てへっ」じゃ、ないわよ!!
バカっっ


「………っぃたっ」


なんであたし今、頭チョップされなきゃいけない?
こっちが殴ってやりたいくらいなのに!!


「いやー、なんとなく?」
「はぁ?」


なんとなく、で女の子殴るのかあんたは。


「あんまり必死に否定するからさー」
「?」
「なんか腹立つじゃん?」

「はぁあ!??」


そんなふんわりした理由で頭チョップしたわけ!?


「自分で言ってなかった、なんの感情もない相手、って」
「ぁあ、あれ。良く覚えてんね、ちょっとショックだった?」
「なわけないでしょ!!」
「むきになっちゃってかーわいいなぁ、真白は」
「ちょっと!!」


あーもうっ!!
調子狂う!!


頭の後ろで腕組んで、あははと笑うバカ幽霊の背中に向かって叫ぶけど。
いいように振り回されてるだけな気がする。
悔しい。
完全にこいつのペース。



ほんともう。
録でもないのに関わっちゃったなぁ。



「ねぇ真白」
「何よ」
「『見えるもの』に、気をつけてね」
「?」
「絶対に気を許さないで。真白殺されちゃうよ?」


ゾクっ


また、その瞳。
なんでもない顔で。
なんでもないことのように恐ろしいことを告げる。
温度のない、冷たい瞳で。
何考えてるか、わかんない瞳で。



表情がコロコロ変わりすぎて。
実際何考えてるのかなんてわかんないんだけど。
だけど時々。
この子のあの顔は、あの表情は、すごくすごく、怖くなる。




「なーんてね」



黙ったあたしの頭をよしよし、と撫でながら。
いつもの人懐っこい笑顔を向ける彼の瞳は、全然笑ってなんかいなかった。







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