第1章 俺の子を孕(う)め
あれから。
1ヶ月。
あの事故以来、一週間も眠りこけていたらしいあたしは。
目を覚ますや否やそりゃもう、検査検査の、毎日で。
内臓破裂、肋骨骨折、右足の解放骨折。
脳挫傷による脳浮腫。
そりゃもう、危篤も危篤。
生死を文字どーりさ迷ったのだ。
今の医学のなんと優秀なこと。
ほんと。
頭が上がらないわ。
「違うでしょ真白、僕のおかげだってば」
「!!!」
例の交差点。
横断歩道で例のごとく信号待ちをしていれば。
なに食わぬ顔で飄々とぷかぷか浮いてる見覚えのある、そう、いつぞやの幽霊くん。
「な、なんでっ!?」
「言ったでしょ?僕の子宿してって」
「な、だってあれは……っ」
「まだまだ、孕んでないよね?」
ぷかーと浮きながら、お腹に手を触れる、幽霊くん。
「なんで、あなた……っ」
「真白が僕の子供宿すまで、つきまとうからね?」
「━━━━━!??」
嘘、でしょ。
あれは夢じゃ、なかったってこと?
嘘でしょ。
誰か嘘だって言ってよ。
ぷかぷかただ浮いてる少年に、あたし妊娠させられちゃうの?
絶対絶対、無理だってば━━━━━っ!!!