第8章 約束
「━━━━━━っきゃぁあああっ!!」
━━━━落ちる!!
頭がそう、認識した、途端に。
「…………あ、れ?」
痛く、ない………。
てっきりぐちゃ、とか。
ガツン、とか。
そんなホラーな衝撃、予想してたのに。
予想に反して地面が、柔らかい。
ってゆーよりも。
あれ?
暖かい?
「真白っ!?」
掌をグーパー、グーパー、なんとなく動かしていたら。
血相を変えてママと、パパがドアを開けてなだれ込むように、入ってきた。
「大丈夫!?」
「う、ん、大丈夫……」
なに、この剣幕。
「どっか痛む?」
「痛く、ない……」
「悪い夢でも見たか?」
「……ゆ、め?」
夢。
そうか、夢、か。
なんで痛い、とか思ったのかさえすっかり忘れた。
まだ身体はこんなにガチガチに震えてるのに。
その原因が、わからない。
夢の中で、怖いことでもあったかな。
自分のベッドの中で、どっから落ちるってんだ。
全く。
「ほんとに大丈夫?」
「大丈夫だよ」
窓へと視線を向ければ。
カーテンから差し込む光がまだまだ薄暗い。
「ごめん、変な夢見ちゃったみたい……」
さっきたぶん、大声、出しちゃったから。
それでふたり起きちゃったんだ。
「…………」
無意識のうちに向けた視線は、薫の部屋。
薫。
「真白………」
「薫に、会ってないな……」
会いたいな。
そう、思ったらなぜだか勝手に涙が溢れてた。