第33章 二口の初恋
貴方side
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見事因縁の相手、伊達工業に勝つ事が出来3回戦で当たるのは青城
練習試合では勝てたが、それぞれ個人強いし及川が最初から居なかったからという事が前回と違う
一筋縄ではいかないな…
ドンッ
貴「わ…」
ジュースが飲みたく、自動販売機近くに行くと誰かとぶつかる
二口「…」
貴「げ…」
二口「人の顔見て嫌そうにしないでよ」
いや、実際苦手だから
貴「!」
ふと、彼の目を見ると赤かった
貴「……もしかして、泣いた?」
二口「!……は、はぁ?泣くわけないじゃん俺が!」
貴「別に、強がらなくても…」
二口「煩いっ!!敵に情けとかかけんなよ!!そういうの嫌いなんだよっ」
先程あったチャラい性格とは全く違う、それだけ悔しいのか
ポンッ…
二口「……は?」
貴「別に、情けとかかける意味ないし。ただ、純粋に凄かった。それだけ」
思わず頭を撫でてしまった
貴「チャラそうだから、試合にバレーに思い入れなんかないと思ってた」
二口「……っ先輩達の、最後の、試合だったっ、悔しいに、決まってんだろっ」ポタポタ
私の肩に顔を埋めながら震えていた
ポツリポツリ話しながら、二口は涙を流していた
バレーが好きだからこそ、出てくる感情だ
★★
数分後
二口「絶対、誰にも言うなよ!」ムスッ
貴「はいはい」
どうしても泣いた事を知られたくないのか、私に何度も釘を打ってくる
貴「じゃあ、私次の試合観に行くから」
ガシッ
貴「?」
二口「………メアド、教えてよ」
貴「え」
二口「今度会ったら、教えてくれって言っただろ」
真剣に聞いてくる彼に対し、断れなく教える…
貴「じゃあね」
二口「あぁ」
貴「……あ」
二口「?」
貴「二口達、伊達工のバレーも凄い良かった。また、いつか見せてよね」ニコ
そう言いながらその場を後にする
二口side
二口「……っ何だよ、それ⸝⸝⸝」
いきなり褒めてくる彼女に対し、顔を赤くする
初めての感情、けどわかってしまう
俺は、初めて本気の恋をしてしまった…