第1章 始まりと白いウサギ
再びスノウが目を覚ますと…時計塔の最上階に居た…
手には小瓶が握られている…
鞄も無事なようだ…
「良かった~」
「…まだ居たのか?」
ユリウスだ…
機嫌悪そうだな…
「私だって、好きでここに居るわけでは無いです…アリスを見つけたらすぐにでもこの国を出ます…」
アリスがこの国に居るんだったら連れて帰らなきゃ…
イーディスだっておじさんだって悲しむ…
連れて帰らなきゃいけない…
でも、ユリウスは意外な事を言い始めた…
「それは無理だな、この国に来た時点でお前もアリスも帰りたいと思っていない…」
「えっ?どういうことですか!!」
さっきペーターが言っていたゲームの事だろうか…?
確かハートを集めるって…
「本来、帰りたいと願えばすぐにでも帰れるはずだ」
どういう事なのだろうか…?
私は…帰りたいはずなのに…
「じゃあ、どうすれば良いの?確かハートを集めれば…って聞こえたはずですけど…?」
ペーターはそう言っていた気がする…
「ああそうだ、お前はこれから適当にふらついて過ごしていけば小瓶の中に薬が溜まり帰る事が出来る…」
なるほど…適当に…
帰るまでの間、ここに置いてもらえないかな…?
「ねえ、ユリウスさん…」
「ダメだ」
ケチ…
まだ何も聞いてないし…
「分かりました…少しこの国を見て回ってきます…」
「ここには戻ってこない事だな…」
そう言うとユリウスは部屋に戻っていった…
さて、最初は何処に行こう…