
第4章 舞踏会とゲームの終わり

「そう、ここでなら私達は姿を保てる…時計に生かされ、生きていられるんだ…そんな事に何の意味も見出せなくてもね…だから、ここの住人は空虚で、どうやって生きていいのか分からない…自由なはずなのに、役割から逃れられないんだ…」
時間がコロコロと変わったのはこれが原因か…
ここが時間の国だから…
「私達が君達余所者を好きになる理由もわかってくれたか?」
何となくわかった…気がした…
私とアリスは…時間に意味を見出していた…
その他にも、彼らには持っていないものを持っている…
でも…
「アリスを探してたらペーターに連れ込まれたから私が来たかったわけじゃないわ…」
自信無さげに答える…
でも、その事に気づいたとしても帰らなきゃ…
最後にユキの方を見ると…彼女の体が透けていた…
「どうして…」
スノウ…と自分を呼ぶ声が聞こえた…
ユキの手を掴んだ瞬間…彼女の姿はすぅっと消えていった…
最後に…
「私は…いつだってあなたと一緒だよ…」
という声が聞こえた…
そして…さらに忘れていた記憶が蘇ってきた…
「ナイトメア…どういう事?」
私は…私の正体は…
「答えてよ!ナイトメアっ!」
完全ではないにしろ…私の正体が…ユキの生まれ変わりなんて…
「すまない…」
でも、責任を果たさないと…
帰らなきゃ…
「私は…元の世界で夢をかなえるんだ…警察官になって今よりも更に犯罪を減らすんだ…」
だから…帰らないと…
「君は…」
「見送りとかは…良いから…」
そう言うと光に向かって走って行った…
…
…
気が付くと、自分の家の庭に座っていた…
両親は隣に座っている…
「おはよう…」
「良い夢を見ていたのね…」
夢…
今さっきまで見ていた夢を思い返していた…
お母さんは話を続けている…
「でも、もう少し寝てても大丈夫よ…」
「私達の事は気にしなくて良いから…幸せになれ…お前は…警察官になるよりも大切な事があるんだろう…?」
えっ…
足は半分穴に入っていた…
あっそうだ…これは夢なんだ…
お父さんとお母さんは…もう…
それに今ならまたあの世界に行ける…
まだ間に合う…
私の…私のやりたい事は…
…
…
…だから…
…
…
そう思い、穴に飛び込んだ…
自分の意志で…
誰にも干渉されずに…
視界の端で小瓶が割れた…
もう、何にもとらわれる事もない…
…
…
…
さあ行こう…
大好きなみんなの所へ…
