第1章 始まりと白いウサギ
私はその日の夜から毎晩…一週間位…夢をみていた…
とても悲しい夢…
アリスが…死んでしまう夢…
私の目の前からいなくなってしまう夢…
アリスとトンガリ帽子をかぶったウサギ耳の少女が楽しそうに話している夢…
そして何故か吐血している人の夢…
最後のが意味不明だ…
だって…知らない人が夢の中で吐血しているなんて…
私は…どんな夢が見たかったのだろう…
今となっては分からない…
でも、夢の最後には必ず時計の音が聞こえていた…
…
…
困った事に…起きた後も夢を見ている様な光景を目撃する事が多くなってきた…
「何で、お父様とお母様が…」
2人は出張する事が多く、家にも殆どいない…
なのに…今日は帰ってきていたのだ…
「スノウ…ただいま」
久しぶりの両親の顔が見れてうれしい…
嬉しいんだけど…
この幸せが無くなってしまう程の恐怖が大きくなっていく…
何か…悲しくなる…
…
…
泣き顔を見せたくなかったので、部屋に戻る事にした…
すると…
一週間前にアリスの家で見かけたウサギが部屋の中に居た…
赤いタータンチェックの服を着たウサギ…
しかも驚く事に、2足歩行している…
「待っていましたよ!!スノウ」
しかも喋った!!
「だっ誰?…何でウサギが喋ってるの?」
明らかに現実ではおかしい…
あり得るとしたらゲームや夢の世界だけだ…
…
色々とパニクってると…
ウサギが…
…
…
…
青年の姿になった…
白いウサギ耳が生えている…
そして…
「さあ、行きましょう…アリスが待っていますよ?」
という声が聞こえた…