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ダイヤのA 御幸一也

第19章 今できること


「御幸、また呼び出されんだってさ」

マネ室で雑用をしていると幸ちゃんがこう切り出した。

「また告白?大会中なのに?こりゃ甲子園行って全国区になる前に鍔付けとこうって輩なのまるわかりだね。」

「御幸は性格がアレだけどイケメンだから。」

すごい言われよう…。

「だけど、舞だけなんだよねー?」

「ん?」

「御幸が隣に置いとく女の子。」

唯ちゃんがニコニコしながら言った。

「同じクラスだし、それに私だけってことはないと思うけど。」

「そのセリフ聞き飽きた!御幸に彼女できちゃってもいいの?」

幸ちゃんのその言葉にチクンと胸が傷んだ。

「………。」

なんて言えばいいのかな?
男の子と女の子って関係に名前つけなきゃダメなの?
彼氏とか、友達とか、ハッキリしてなきゃいけないのかな。
部員とマネージャー、同じ夢を追いかけてる、それで隣にいちゃいけないの?

「ごめん、困らせるつもりはなかったんだ…。たださ、なんていうかな。
羨ましいって思うし、勿体無いとも思う。
御幸の隣には舞がいて、舞の隣には御幸。
私らにはこれが普通の日常の光景。これがまたお似合いなんだよ。」

「時間は巻いて戻せないんだから、後悔したって遅いんだよ?
色恋沙汰苦手なのはわかるけど、舞は意識しなさすぎて本当に心配!」


好きか嫌いかで聞かれたら、好きだよ。
でも、それ以上はわかんない。

野球部の大切な仲間。
兄貴の想いを汲んでくれてる人。
でも、今はこのチームが甲子園に行けるかがかかってる大事な時期で、野球部のことしか考えられなくて。
どうしたら、みんなが力を発揮できるか、何かできることはないかってそればかり。

結局、応援することしかできないから、もどかしい。

今、そんな話されてもわかんないよ。

マネ室をノックする音で話は中断した。


「春市が足痛いって、テーピング巻いて欲しいからマネージャー来てくれる?」

亮介先輩が私の所に来て手を引っ張った。

「足?春市くん大丈夫ですか?」

明日試合なのに。

マネ室を出て室内練習場の近くまで来て、亮介先輩は足を止めた。
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