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ダイヤのA 御幸一也

第17章 声援


どうしよう、あれからずっとモヤモヤしてる。

何についてモヤモヤしてるのか、自分でもわからない。


「降谷見なかった?」


ランニングに行ったっきり戻ってこないと御幸くんが探しに来た。

「私も探す。」

フラフラと歩いていったのは確かこっちの方。


室内練習場のウエイトスペースで、降谷くんは横になってた。

「寝てる…。これじゃ御幸くんに怒られるよ…
起きてー、降谷くん。」

「舞ちゃん、降谷いたか?っておい!寝てんな!
起きろっ!!」

いつになく大きな声で降谷くんを叩き起こした。

寝起きだからかボーッとしてる。


「ねぇ、降谷くん大丈夫かな?暑すぎるんじゃない?」

「だって、夏じゃん。今年は暑くなるって言ってたからな、しっかり食っとけって言ってんのに昨日も飯残してんの」

「や、だから…降谷くんは今年、初めての夏でしょう?」

「そうか、北海道から出てきて初めての夏。こっちの暑さに身体がついていってないのか…」

ここに来て大問題発覚。
これからまだまだ暑くなるのに、東京特有のジメジメした暑い夏。

「今日は軽く投げるだけにしとくわ」

「そうだよね、その方がいいかも…」

「アイシングだけ用意しといてやって。」

「わかった。」

ずっと東京で暮らしてる私でも今年はいつもより暑いなと感じる。
夏でも涼しい北海道で育った降谷くんには、何よりもきついと思う。

もっと早く気づいてあげられれば、良かったな。

ボールには力はあるみたいだし、クリス先輩も判断が難しいって言ってた。


明日の試合、氷たくさん準備しとこうかな。
いや待てよ、ベンチにいる時は涼しくできても、マウンドに立ったら余計に暑さを感じるか…うーん、どうしたらいいんだろ。

「百面相だな」

「御幸くん、上がったんじゃなかったっけ?」

「沢村見に来た。たぶんまだやってんだろ?ナイターついてるし」

「亮介先輩と春市くんもまだTバッティングしてるはずだよ」

「まじか!よくやるよ、ほんと。」

沢村くんの様子を見に来た御幸くんと一緒にグラウンドに目をやる。

「え、監督?!」

左バッターボックスに立ってる。

「沢村くんにインコース投げさせるつもりかな?」

「降谷のスタミナ不足があるからな。沢村を使えるか監督自ら試してるって感じか。このプレッシャーの中、投げられるか…」
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