第17章 声援
3回戦
対村田東
哲先輩の5回コールドサヨナラ2ランで勝利した。
降谷くんとノリくんの継投で無失点。
スタンドで昼食を食べて、都神山対明川を観戦する。
いつものように配球表をつけるためにバックネット裏へ。
他校の生徒かな、青道の野球部を見てキャッキャッしている。
降谷くんがかっこいいとか、結城くんがいいとか
いやいや御幸くんでしょとか、いろんな声が聞こえてくる。
御幸くんの名前が出て、一瞬心拍数があがる。
なに、これ。
5回のグラウンド整備の時、御幸くんがお茶を差し入れてくれた。
「ありがとう。」
「暑いからちゃんと水分補給しろよ。顔、赤いぞ」
「これつけてると夢中になっちゃって、忘れてた」
ペットボトルの蓋をカチってあけて、一気に半分くらい飲み干す。
「はぁ、冷たくておいしい。本当助かった。」
「それは良かった。」
クーラーボックスの中の保冷剤まだ冷たいかな…
取ってこようかなと考えていると試合が再開される。
さっき騒いでいた女の子達が御幸くんに話しかけていた。
次の試合も見にくるから頑張ってくださいって声をかけられていて、なにやら紙袋を渡されていた。
「気持ちはありがたいんだけど、こういうの禁止されてるんだ。すみません。」
残念としょんぼりしたかと思えば、話しちゃったねってはしゃいでいた。
「禁止されてたっけ?」
「食べ物は怖いんだぞ。食中毒にでもなったらどうする…」
そっか…確かにそれはある。
これだけ暑いんだもん、迂闊には食べられないか…。
「イケメンは大変だね」
「別に、今だけだろ?」
そうかな…きっかけはどうであれ本気で御幸くんの事を好きになる女の子だっているかもしれないじゃない。
ファンレターとかよく届いてるし。
その中にタイプの子がいるかもしれない。
そういえば御幸くんとタイプの女の子とか全然知らないや。
御幸くんだけじゃないけど。
そんな話今までしてこなかったもんなぁ。
野球の話ばっかりで。
「3球目、インハイにスライダー」
「あ、ごめん。」
「やっぱ熱中症か?日陰に移動するか?」
「ううん、ごめん。ちょっと集中力切れただけ。大丈夫。」
いかん、いかん
ちゃんとつけなきゃ。