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ダイヤのA 御幸一也

第1章 一年生


その一言で御幸くんは全て察してくれたみたい。
「バッテリー組もうって…
お互い頑張ろうな…って。そう約束してた。春になるのが楽しみだった。
兄ちゃんのこと聞いた時はびっくりしたよ。」


うん、知ってる。嬉しそうに話してくれたから。
春になったら、青道でって約束したって、それはもう嬉しそうに話してくれたから。

「君か…自慢の妹がいるって
春になったら、紹介するってあいつ…笑ってたのに」

これが、私と御幸一也との出会いだった。



部活もクラスも一緒で、打ち解けるまで時間は掛からなかった。

「舞ちゃーん」

御幸くんは私のこと名前で呼ぶし、宿題見せてって寄ってくる。

自分のためにならないから、ダメですと突き放すとあからさまに拗ねる。

かと思えば、グラウンドでは自信家で一年生なのに一軍で。

一体この人はいくつの顔を持っているのだろうと興味を持った。

「きっつー、やっぱり高校と中学じゃ全然違う。レベル高い。」

「全然キツそうじゃないし、むしろ嬉しそうですが?」

「バレた?青道に来てよかった。舞ちゃんにも出会えたし。」


こういう事をサラッと言ってくるのはどうしてだろう。
照れていたらからかってくるから、あんまり気にせずに流すことにしていた。



4校合同の練習試合のスコアーをつけていた。

青道と試合していないもう一つの試合。

スコアー付けは大好きだ。
変化球、ストレート
細かく付けていくのが、私の書き方。

自分の目についたピッチャーのことも、いつもの癖で書き込んでしまったと気づいたのは、スコアーを見にきた、先輩が驚いていたから…。


「なにこのスコアー…何者?!」

女の子が書くスコアーじゃないとびっくりされた。

「ダメでしたか?いらない情報まで書いてますか?」

「いや、助かる!ありがとう」

そのスコアーブックを持ってみんなに見せに行ったのは、恥ずかしいから辞めてーと心の中で叫んだ。

それから、私は偵察隊を任せられるようになった。



キャーキャー黄色い声援を送っている女の子に混ざって強豪校の練習を覗きにいく。

まとめたデータを選手に共有してもらう。

食堂の一角を借りて、今日見てきたデータをまとめていると、選手達が夕食を取りに来た。


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