第8章 新入生
「舞ちゃんのお眼鏡にかなう子はいた?」
「お眼鏡って…そういうふたりは?」
休み時間でさえ野球の話。
なんなら授業中も、野球の事考えてる。
2年になってから、何回も聞かれた。
゙御幸くんと倉持くん
どっちと付き合ってるの?゙って。
よく3人一緒にいるから勘違いしてる人は結構いる。
中には、二人のことが恋愛対象として好きで、探りを入れて来られることもシバシバ…
ふたりはめんどくさいっていてるけど、彼女いる子もいて、野球と両立させてる。
起用ですごいなぁと素直に思う。
一年生のマネージャーも入ってきた。
ドジっ子だけとかわいい。
「先輩、これどうしましょう」
「それはね、こっち。足元気をつけてね。また転んじゃうよ」
「気をつけます。」
「少しずつで大丈夫だから、焦らない焦らない。」
一生懸命で本当にかわいい。
「先輩づら似合ってるな」
「先輩だもん。」
「沢村のこと気にかけてやってるみたいじゃん。」
「一生懸命やってる子は応援したくなるでしょ?御幸くんもサボってないで練習練習。」
「妬けちゃうねぇ。」
「つまんないこと言ってないで、ほら行った行った。」
春の都大会も近いし、頑張らないと。
寮の食堂で、お米を1升、研ぐ。
これは私の願掛け。
1升と1勝。
とん勝つ的なあれ。
「今日もやってんだね。舞ちゃんが研いだお米は夜食用に炊いとけばいい?」
「はい、お願いします。たぶんみんな夜も練習すると思うから。」
「わかったよ。頑張っておいで。」
「行ってきます。」
グラウンドに出ると
青道コールが、響いていた。
何度聞いてもかっこいいな。これに憧れてる子も結構いるみたい。
今日の相手は市大三高。夏のリベンジだ。
初回、御幸くんの3ランホームラン。
内角のスライダーをあそこまで飛ばすとか…。ランナーいるととことん強いな。
今頃"入っちゃった、テヘ"とか思ってそう。
私は、配球表を手にホームベース後方のスタンドから御幸くんのホームランを見た。
決め球のスライダーを完璧にホームランにされたら、これから先投げれなくなる。ストレートに的が搾れそうだね。
打線も繋がって大量得点だ。
ただ…エースの丹波さんの調子が…
苦しんでる。