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ダイヤのA 御幸一也

第67章 7月突入


涙は引っ込んでたのに、選手にお守りを配っている時にかけられる言葉でまた泣いちゃう。

「ナベちゃんのこれ。」
「ありがとう。手紙まで書いてくれたの?大事にするから。」

新チームになってからナベちゃんと過ごす時間が増えて、試合に出られないのも受け入れてチームのためにって頑張ってる姿、近くで見させてもらえて、どこに注目してデータを取ればいいかすごく勉強になった。


「ほらほら、泣かない。まだ大本命に渡してないんだろ?
御幸のやつ、待ちぼうけ食らって、見てるこっちがかわいそうだよ。」

振り返ると手持ち無沙汰にしてる一也。

「行ってきな」とナベちゃんにトンと背中を押された。


「俺、一番最後?」
「大トリともいいます。」

おずおずとお守りの入った袋を差し出す。

「ありがとう。舞がマネージャーで彼女でほんと良かったって思ってる。絶対連れて行くから。最後まで俺達の事を1番応援して。
勝つって信じてて。」

もうだめだ…。
涙腺は決壊した。
ボロボロと溢れる涙、明日の顔はきっとひどいことになってるだろうな。


タオルで涙を拭かれて、落ち着いたころ。
差し出されたのは背番号2。

「俺の背番号は3年間舞がつけてきたんだから、最後もな。」
「うん、任せて。」
「頼むな。」

ユニホームを着てもらい仮止めをしていく。
もうこれが最後なんだなぁ…。
またしみじみしてしまった。

マネージャー室を誰かがノックする。

「すみません、お願いしたいことがあります。」
「奥村くんどうしたの?御幸くん?」
「いえ、マネージャーに。御幸先輩にあやかって俺の背番号もマネージャーにつけて欲しいです。」
「いいんじゃねぇの?ただ、ちゃんと舞の想いを背負えよ。」
「わかってます。その上でつけて欲しいって思ってます。」

奥村くんにもユニホームを着てもらって仮止めした。

「明日には渡せると思うから、ちょっと時間ちょうだいね。」
「はい、ありがとうございます。」
「先、俺な。そこは譲れん。」
「はいはい。わかりました。」

2人が同じ顔して手元を見てる。
ジッと見られてるのやりにくいっていうクレームは受け入れられなかった。

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