• テキストサイズ

ダイヤのA 御幸一也

第67章 7月突入


「さすがだな。丁寧なのに、早くてきれい。」

「そりゃ、リトルの時から兄貴や自分のつけてたし、俊平のもつけてたからね。お裁縫は得意だよ。」

「兄貴って?」

奥村くんしらなかったんだっけ?
兄貴の事を話したら、奥村くん黙っちゃった。

「つまんなかった?話長かった?ごめんね。」

いきなり立ち上がって深々と頭を下げられた。

「え、なに??」

「知らなかったとはいえ、俺は失礼な事をしてました。
チャラチャラしてるって勝手に思い込んでた。誤解してて本当にすみません。」

「謝らないでいいよ。」

頭を下げたままずっとそうしてた。

一也にやめさせてもらおうと彼を見ると、ずっと黙ってたのに口を開いた。

「お前は俺からポジションを奪ってやるって言ったよな。
舞への態度もそれが原因なんだろ?欲してやまないポジションの座に俺がいて、部内恋愛でチャラチャラしてんのが気に食わなかった?」

「簡単に言うとそうです。
御幸先輩の手に入れてるもの全てが欲しかった。
沢村先輩、降谷先輩からの信頼も含めて全部。」

「どれもやれるもんねぇけど、盗めるもんなら盗んでみろ。
お前、2年前の俺そっくりだよ。俺もクリス先輩から盗んでやろうって生意気な1年だった。」

それから奥村くんといろんな話をした。
コミュニケーション取るのは大事って改めて思う。

最近の奥村くんは感謝を口に出したりチームに溶け込もうと頑張ってたし。
1年生でベンチ入りはやっぱりすごいこと。
これからチームの核になっていく選手。
小野くんが言ってたように一也も伝えたいことたくさんあると思う。


「でーきた!一也、着てみて。」
「もうできたの?はえー。」

うん、ばっちりだね。

次は奥村くんの。
まだ真新しいユニホームに一針一針縫いつけていく。
「ねぇねぇ…奥村くん、水を指すようでごめん。
でも追試の勉強しなくていいの?」

「記入ミスがほとんどだったので…勉強自体は問題ないです。」

ありゃ…それだけ野球の事で頭いっぱいだったってこと?

「追試は見直しちゃんとしろよ。」
「一也はこう見えて成績もいいからね。」
こう見えては余計だとお叱りを受けた。

奥村くんのもつけ終わって、着てもらった。
「うん、こっちもばっちり!」

「ありがとうございます。」

ほんと最初の印象とは別人みたいに丸くなったなぁ。
/ 362ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp