第66章 抽選会場にて
みんながすごいって褒めてくれるスコアも配球表も2人に鍛えられたから。
見にくい、もっとわかりやすくって何度も言われた。
合格!と太鼓判を押された時は嬉しかったなぁ。
このまま3人同じ高校に行くと思ってたけど、兄貴が青道から声をかけられて、一也とバッテリー組みたいって夢見て。
私が言った一言で、兄貴が一也に声をかけに行くなんて思ってなかった。
兄貴の事故があって、落ち込む私に寄り添ってくれてたのは俊平。
やっと気持ちの整理ができた頃には俊平の進路は決まってた。
「俺は青道には行けないけど、舞があいつの夢叶えてやって。」
そう言って青道を受験するのを後押ししてくれた。
受かったよって言いに行ったら、少し寂しそうな顔して良かったなって言ってくれた。
「別々の進路になるけど、俺は舞の事ずっと見てるから。
これからも友達としてよろしくな。」
「うん、ありがと。俊平も頑張ってね。」
それから落ち込んだりした時は、決まって俊平から着信が入る。
どっかで見てるのかな…ってキョロキョロ辺りを見渡したこともあった。
「泣いてねぇか?」
「泣いてないよ」
電話に出るともしもしよりも早くそう言われてそう返す。
実際泣いてる時がほとんどで、話してるだけで随分救われてた。
俊平の気持ちに気づくことなく接してきて、あの時の俊平の告白にはびっくりした。
気の許せる男友達。そう接して来たのに。
ずっと好きでいてくれてたなんて…。
一也の事が好きだから気持ちには答えられないけど、友達として応援したいって思ってるし、痛めてる所があるならやっぱ心配だ。
一也は怒るかな…嫌な思いさせてしまうのかな。
一也の悲しい顔なんて見たくないけど、俊平の事も放っとけないのは、悪いことなのかな。
くじを引いた俊平の顔は覚悟が決まったように見えた。