第65章 ※ みんながいるのに
「ハァ……ハァ……、あ~、ヤバっ…
まだイッてんの?ナカ気持ちよくて、抜きたくねぇよ。」
グダっとした私を一也は優しく包む。
「バカ…エッチ…」
「はいはい、そんなこと言って気持ちよかった癖に。」
うっ……、それを言われるともう反論できない。
ガクガクしてる足になんとか力を入れて、一也に背中を向けて服を整えた。
「拗ねた?」
フワッと一也のニオイがする。
後ろから抱きしめられて、キュンとしてしまう。
拗ねてなんてない。恥ずかしいってそれだけ。
「そういやさ…鳴にもこうやってされてたな…」
電車降りる時だ。
中に引きずり込まれた時、手首を掴まれたのと、あの人の腕がお腹の当たりに回ってたっけ。
「言われるまで忘れてたのに…あんなの抱きしめられたうちに入らない。ノーカウント。一也にされるのがいい。」
「当たり前だろ。あん時は俺も油断してたし。
鳴は気に入った女の子にじゃないとあんな態度取らねぇから、ちょっと心配。」
「嘘だぁ。もし一也の言うとおりだったとしたら、相手の女の子に絶対嫌われるじゃん。絶対伝わってないよ、ひねくれてる。」
「鳴だからな。」
ひねくれ者のキングだもんな…。妙に納得しちゃったよ。
心配症って倉持くんもナベちゃんもみんな一也のことをそう言う。
成宮鳴相手に私がどうにかなることなんて絶対ないのに…。
「一也、私また不安にさせてた?」
「違うよ、きっと俺自身の問題。
大事なものほどなくした時にダメージでかいの知ってるから…
なくさねぇように繋ぎ止めておく事に必死なの。」
あ…お母さんの事だ…。
その気持ちはちょっとわかる。
兄貴のことがあるから。
「私は一也だけだよ。何度でも言うから。好きだよ。」
「舞…。」
「一也の事支えたいって思ってるし、力になりたいし、えーとえーとそれから…どんなにエッチなことだってそれで一也の不安が取れるなら受け入れたいし…」
「もうわかったから。これ以上喜ばすな。」
腕の力がまた強くなった。
コンコンとノックされて一也が立ち上がりドアの前へ。
「なんだ…奥村か…どうした?」
「沢村先輩がうるさくて…舞先輩とゲームするんだってごねてます。起きてますか?」
「起きてるよ。」
しゃーない、行くか。と手招きをされた。