第63章 白羽の矢
見てみたいとは思っていたけど、実際目の当たりにすると冷や汗をかいてしまう。
成宮鳴と御幸一也のバッテリー。
一也の強気中の強気のリードに応える成宮鳴がすごい。
構えた所にドンピシャ。
「これで満足?」
「お見事」
そんなやり取りをしてるのを見るとこの二人にしかわかり得ない何かがあるのかな?
絆って言ったら多分二人は怒ると思うけど。
成宮鳴が堪らなく羨ましいと思う。
一也にあんな顔させられるのあなただけだよ。
8回表の最後の一球。なにか雰囲気が違う。
一也の様子からしても…。
あの一球は、一也に対して投げたみたいに感じた。
こちらの攻撃はあと2回。
一番からの好打順。
稲実の1.2番で1点取っちゃったよ…。あの足、どうやったら止まるの…。
ここにいる人達の実力を知るたびに怖くなる。
一也は引っ張るのが精一杯って感じの進塁打。
成宮くんにキャンキャン吠えられてた。
「次は打つ。」
「俺達に次なんてねぇの。」
「打ーつ!」
山岡くんが外野の頭を超えて同点。
稲実勢の活躍が眩しい。
1試合目は5-5の引き分け。
2試合目が始まった。
梅宮-御幸のバッテリー。
鵜久森戦を思い出す。
結果は2-3。
最終回の攻防は手に汗握った。
ファーストを守るの一也も新鮮で良かったけど、やっぱ一也はキャッチャーが似合う。
お互いの健闘を称えて交流する選手たち。スポーツに言葉は必要ないって誰かが言っていた事を思い出す。
一也も沢村くん降谷くんからもらったハイチュウをアメリカの選手にちゃんと配ってた。
その光景にちょっと笑ってしまったけど。
写真を撮る時に私も混ぜてもらった。
アメリカの選手はほんと大きい。
「Is your child in elementary school right now?」
ちょっと…いくら何でも小学生って、失礼すぎる…。
「No!!」
じゃぁ中学生?と返されて、一也成宮コンビに大笑いされた。
「Im a high school student」
アメリカの選手達は全員キョトンとしていて、信じてもらえてなさそう。
「海外から見たら日本人は幼く見えるから。」
楊くんからのフォローもなんだか痛い…。