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ダイヤのA 御幸一也

第60章 嫉妬


「よしっやるか!」
ふぅーーと大きく息を吐いて、んーーーと背伸びをしている。
バッティンググローブをはめてる所を見ると今から素振りするのかな。

「あんま煽ってんじゃねぇよ」
「なんも煽ってないじゃん」
「喜ばすなって…帰したくなくなるから」

そう言われたら私だって帰りたくなくなる。
いつまでもここにいたら御幸くん練習行けなくなるよね。
「ファイト!」

「気をつけて帰れよ。」

明日は関東大会の偵察に行かなきゃいけないから、私も早く帰える。
薬師はどうなったかなとスマホで調べようと取り出した。
タイミングよく、着信が告げられた。

「俊平?!」
「おー、出るの早っ!」
「どしたの?」
「近くに御幸いるか?」

御幸くん?今さっき別れたばかりだから、戻ればいつもの所で素振りしてるはず。でも、邪魔したくないな。

「そっか…なら、あいつに内緒でいいから、ちょっと出てこねぇ?」
話しながら歩いていたから、俊平がそういった頃にはもう校門の所に差し掛かっていた。

「って、いたいた。舞!」
「え?なんでいるの?」
こっちだと手を振る俊平に駆け寄った。

「関東大会は???」
「負けた。11-12でサヨナラ負け。」

試合内容を聞いて、なんと言っていいやら…。

「野球ってほんと何が起こるかわかんないね。」
「だよなぁ…負の連鎖はマジで怖い。」

学校で解散してその足で来てくれたみたい。

「気を引き締める為に舞の顔見に来た。」

「この前後輩にゆるキャラだって言われた私の顔見て引き締まるかな?」

「お前ら兄妹は俺の道標だから…。会ったらパワー貰えんだよ。
あいつがいなくなって、俺はモチベーション下がって推薦全部蹴って、薬師に進んだけど、お前はすげぇよ。兄貴の気持ち持ってここに来たんだから。」

俊平の視線は青道の校舎を見つめている。

「御幸も落としちまうくらいだしな。」

「え、いや……それとこれとは…」

御幸くんの名前が出て戸惑っていると、足音が聞こえてきた。

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