第60章 嫉妬
「こらこら、お前ら2人して俺をなんだと思ってる?」
「性格悪いって言われてるのも気にならないくらいいい所の方が多いんだからいいじゃん。」
「ほぉー、それは興味深いね。舞が思う御幸のいい所って?」
「努力家、負けず嫌い、料理が上手な所、自己分析がしっかりできる所、実は後輩想いで仲間の事も大事に思ってる。字がきれい。授業中もスコアブック見てたりするのに、テストでは結構いい成績取っちゃう要領の良さとか。
責任感が強い所。あとは…隣にいると暖かい気持ちになれる。それから…」
続けて言おうと思ったら、ゴンッて大きな音がして、机に御幸くんが突っ伏してる。
御幸くんのおでこ大丈夫かな?
それとメガネ…傷ついてない?!
「最後のは矢代限定なんじゃないの?」
「あっ、そっか…他の女の子が御幸くんの隣に来てこんな気持ち味わったら困るな…」
「ふっ、はははっ……無自覚なんだろうけど、これ以上はもうやめてあげて。御幸、溶けてなくなっちゃうよ?」
ナベちゃんは笑いすぎて涙を浮かべてる。
「え?」
オロオロする私を御幸くんは、突っ伏したままチラリと視線を向けてくる。
髪の毛で隠れてるからハッキリとわかんないけど、耳が真っ赤っか。
これって…照れてる??
「はいはい、イチャつくのはこれ終わってから。」
そうだった!まだやらなきゃいけないことはたくさんある。
それらを済ませてナベちゃんとバイバイした。
ナベちゃんが食堂を出ていってからしばらく立つのに、御幸くんは頬杖をついて窓の外を眺めてる。
「ねぇ…、そろそろ帰ろう?」
御幸くんのジャージの裾をクイッと引っ張ったけど、まだこっちを見てくれない。
「今、誰かに会ったらぜってぇ揶揄われるからもうちょい待って。」
「ん?なに?」
声が小さくて聞こえなかったから回り込んで御幸くんの顔をのぞき込んだ。
「見るなって、幸せ噛み締めてニヤけてるんだから。」
腕を引かれて抱き寄せられて、胸板に顔を押し付けられた。
いつもより早い鼓動につられてこっちまでドキドキしてくる。