第58章 お互いの気持ち
幼なじみだし、辛い時期を共有してて、入り込めないって思うときもあると御幸くんは悲しそうな顔で言う。
「ごめん!ごめんね…ほんとにそんなつもりなくて…俊平は…」
ぽんと頭に手が置かれて、御幸くんは微笑んだ。
「な?言わなきゃわかんねぇだろ?」
あれ?ハメられた??
「なんでもかんでもイヤイヤ言われるのは流石に勘弁だけど。
舞ちゃんには溜め込んで欲しくねぇから。わがままだって言ってほしい。」
野球に集中するって言う御幸くんなのに、私は足を引っ張ってばかりじゃないのかな…こんな事で時間取らせて…練習時間奪ってる。
「ごめんね…。」
「なんで謝んだよ。」
「御幸くんが気にかけてくれるのが嬉しい。構えないって言われてたけどこうやって練習時間割いて構ってくれるの嬉しい。
もうこれだけで十分だよ。あ、でも…一つだけお願い聞いてもらっていい?」
「なんなりと、お姫様。」
え、そんなキャラじゃない…
戸惑いながら御幸くんに屈んでもらって、耳元でギュってしてほしいとお願いした。
「そんな事でいいのか?」
「御幸くんがギュってしてくれたら安心するもん」
「キスは?いらないの?」
「前も言ったけど、キスだけじゃ終わらなくなるから…」
抱きしめながら、腰とかお尻とか絶妙なタッチで撫でられる。
「俺を欲しがる舞ちゃん堪んねぇけど…流石にここじゃまずいよな…」
うんうんと頷くと今日行くからなと宣言された。
「え、え、だってついこの前したばかり…」
「たりねぇよ…」
よし、と御幸くんは気合いを入れた。
集中して自主練して行くからとおでこにキスを落としていく。
宣言通り御幸くんはやってきて、何度も何度も…。
朝起きるのがキツくて…朝の散歩にようやくついていくのに必死だった。
倉持くんと降谷くんについて話してる。
「あいつはやわじゃねぇよ」と降谷くんの事を信じてるって感じだった。
「お前も大丈夫だと思うか?」
「ノート返してもらってからずっとプスプスしてるけど、自分と向き合うのも大事な時間だと思う。
今日も朝の早くから降谷くんの部屋電気ついてたし…」
お前…何時からいんだよと小突かれた。
イテテ…踏ん張りが効かなくて、よろけると御幸くんが抱きとめてくれる。