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ダイヤのA 御幸一也

第58章 お互いの気持ち


唐揚げをひとつ差し出された。

あーん、と言われたから反射的に口を開ける。
しまった…。
食べちゃった。

みんなの量の半分だけどちゃんと一人前あるし、唐揚げ1個カロリーオーバーだ…。
今日のアイスはなしにしとこう。

食器を下げにいってそのまま食器洗いの手伝いを申し出た。

「いつもごめんね。」
「いえいえ、こっちこそいつもごちそうさまです。」

厨房に入っておばちゃんとおしゃべりしながら片付けをした。

「あんた、できた子だねぇ。
あんな話目の前でされたら嫌だったろうに」

「可愛げがないんですよ、多分」

本当はヤキモチだって妬く。
いまだにファンレターはたくさん届いてるし、他校の女の子や後輩たちからだって告白されてる。
その度にちゃんと彼女がいるからって断ってるのだって知ってる。

ヤキモチ妬いてるって伝えて困らせたくない。
強がってるだけだ。

やんわり可愛く妬いてるんだよって伝える方法なんて、私は知らない。
気にしてないふりが精一杯。
信じてるって伝える事しかできない。

御幸くんがもし、他の人を選んだらそれは仕方ないって思う。

おばちゃんに背中を撫でられて泣きそうになった。

もう大丈夫だよ、練習手伝ってあげなと言ってくれた。


食堂から出るとベンチの所に御幸くんがいた。
おいでおいでと手招きされた。

「ごめんな…あいつには余計なこと言うなって言っといたから。」
フルフルと首を振った。
隣に座らせてもらって、肩に頭を預けた。
髪を優しく撫でられて…御幸くんにこのぐちゃぐちゃな感情が伝わりませんようにと願う。

ちょっと歩こうかと手を引かれた。

「練習は?」

「いいから」

いつもの場所。私と御幸くんの秘密の場所にやってきた。

「信じてるって言ってくれて嬉しかった。でもさ、あれが舞ちゃんの全部の本当の気持ちか?」

コクンと頷く。
御幸くんには敵わない。見抜かれてる。
御幸くんの手が頬に優しく触れた。
私もその手に両手を重ねる。
「御幸くんが上手に立ち回ってくれてるから、私は…」

「舞ちゃんが、俺のこと好きって思ってくれてるのも、他に興味ねぇのもわかってるし知ってるけど、俺だって真田に妬いたりすんだけど?」

「え?ほんと?」

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