第58章 お互いの気持ち
「俺たちにできるのは一点でも多く得点をあげ援護してやること。
そうだろ?不動のリードオフマン?」
「そうやで!!!」
ゾノくんの突然の出現にヒィッと声が上がった。
一緒に素振り100回やろうと言うゾノくん。
やだよ、一人でやれと見事に振られていた。
「きついなら散歩休めばよかったのに。」
「毎朝一緒に行ってるのに急に休んだら怪しいでしょ」
それもそうかと御幸くんは笑う。
授業中も身体のダルさは取れなくて、休み時間机に突っ伏して少しでも楽な体勢を取る。
「大丈夫か?」
「うん。」
大きな手が頭を撫でる。
「今日は場所かえよ。」
空き教室に入って、お弁当を広げる。
食べ終わって御幸くんがポンポンと自分の膝を叩いた。
「横になってろよ。少しは楽になるかも…」
お言葉に甘えて御幸くんのお膝を拝借する。
ブレザーを脱いで足元にかけてくれた。
「優しー。」
「舞ちゃん限定でね。」
ポンポンと一定のリズムで叩かれて満腹なのと御幸くんの体温も相まって眠たくなってくる。
「寝てていいよ。起こしてあげるから。」
お昼休みのお昼寝タイムなんて幸せすぎる。
御幸くんをチラリと見るとプロ野球選手の著書を読んでいた。
目を閉じるとすぐに眠りに落ちる。
話し声で目が覚めた。
「ほらー、沢村がうるさくするから舞ちゃん起きちゃっただろ?」
「姉さん!すみません、お休み中の所。俺も昼寝しようとここに来たらお二人がいたもんで…つい。」
ちょっと眠ったらスッキリした。
「いやーーしかし、姉さんといる時のキャップ…見たことないくらい穏やかな顔するんすね」
「え?」
「バッ!辞めろって」
先輩を揶揄うなと沢村くんの頭をグリグリしている。
「舞ちゃん行こう、昼休み終わる。
沢村のバカはほっとけ」
照れてるのか耳まで真っ赤か…。
そっぽ向いて顔見れないのが残念だなぁ…
御幸くんのポケットに突っ込んでいる腕に自分の腕を絡めた。
「舞ちゃんまで揶揄うなよ…」
なんかかわいいんだもん。しょうがないじゃない。
教室に戻ると倉持くんからケリをちょうだいしていた。
「その緩んだ顔、練習までにどうにかしろよ。」