第56章 ※ 思い出した体温
繋がったまま、抱きしめられて御幸くんの言葉をぼんやりした頭で一生懸命聞いた。
「きっとさ、出会った頃から好きだったのに、変に意地張ってた。
もっと早く気持ち伝えてたら、嫉妬することもなかったのになぁって。
それにこんなにエッチな舞を知らなかったってのがすげぇ悔やまれる。」
後半は冗談交じりにそう言われて、バカ…って返しちゃった。
動いていいよって言ったのは御幸くんなのに、今ゆらゆら動かしてるのは御幸くん自身。
「ンッ…あぁ…待ってって…言った…」
「動かしてるのは俺じゃないよ。舞のかわいいおしりを動かしてんの。」
一緒じゃない…と言いたかったのに、喋ったら塞ぎきれない。
唇をキュッと結んで、バレないように耐えた。
「あーー、もう!無理…」
グルンと視界が反転して、御幸くんに組み敷かれる。
パンパンと肌がぶつかりあう音、ぐちゅぐちゅといやらしい音もして。
時折御幸くんの気持ちよさそうな声も聞こえてくる。
また体勢が変わって今度は後ろから…
力が入らなくておしりを高く突き出すこの格好すごく恥ずかしい。
私の嬌声は枕がかき消してくれてるといいな。
ただでさえ布団で擦れてる胸の先端を後ろから御幸くんがクリクリ触ってきて、耳元で聞こえる御幸くんの息遣いに登りつめる。
「舞…。」
名前を呼ばれて、締め付けてしまう。
ぱちゅんぱちゅんと数回大きく打ちつけられて、御幸くんの欲を膜越しに受け止めた。
ふたりともハァ…ハァ…と肩で息をする。
重たい瞼の向こうに御幸くんの満足そうな顔。
懸命に堪えているとおやすみとおでこにキスをされた。
私の記憶はここまで。
朝、目覚めると御幸くんに後ろから抱きしめられたまま眠っていたらしいことを把握する。
少し振り返って彼の寝顔を盗み見た。
寝顔を見られるなんて滅多にない。
メガネもスポーツサングラスもしてない顔。
数えるくらいしかその姿を見たものはいないらしい。
寝顔かわいいなぁと思いながら頬に触れる。
寝ぼけた御幸くんが足を絡めてきて、着せてくれたであろう彼のジャージの中に手を突っ込んで来て、やわやわと胸を揉まれた。
「起きてるでしょ?」