第56章 ※ 思い出した体温
「浴衣、脱がすのもったいない…このまましよっか」
「ンッ……ふぅ……だめ…これ借り物……」
合わせの間から、ゴツゴツした豆だらけの手が滑り込んでくる。
焦らされるように触られて…声が漏れそうになるのを必死に耐えた。
「ゆっくりするからなるべく声抑えろよ」
耳元で言わないで…それだけでもう溶けてしまいそうになるから。
可愛くしてもらった帯もいとも簡単に取られて
畳の上に落ちる音が妙に大きく聞こえる。
「おいおい…まじか…」
ピタッと動きを止めた御幸くんの視線の先が胸元に降り注ぐ。
浴衣はブラはしない方がいいとここの女将さんに言われて外していた事を今思い出した。
主張し始めたそれを御幸くんが浴衣の上から、指先で弄ぶ。
「え、まじ?あいつらみんなつけてねぇの?」
その言葉にムッとする。
「変な想像してないで、私だけ…見てよ」
御幸くんの脳裏に浮かんでいるだろうそれを取り払いたくて、自分から舌を絡ませてキスをした。
「積極的な舞ちゃん、エッチでかわいい。」
押し倒した形になって、下から見つめられる視線にゾクッてした。
「いい眺め。」
すっかり乱れてはだけている浴衣。
唯一つけている下着の隙間から御幸くんの指が気持ちいい所を探る。
声が出そうになって慌てて両手で口を押さえた。
ぐちゅぐちゅと卑猥な音。
身体を起こした御幸くんに胸とナカと同時にされて軽く1回果ててしまう。
「これ以上は汚しちゃうよな。」
クタッとした私から丁寧に浴衣を脱がしていく。
シワにならないようにハンガーにかけて戻ってきた御幸くんは、もう見慣れた小さい袋を咥えていた。
「準備よくない?」
「男の嗜みだろ?
うそ…部屋変わったあいつがくれた。」
よっ、て掛け声をあげて御幸くんが私を横抱きにする。
敷かれた布団の上に優しく降ろされた。
親指で下唇をゆっくりなぞられる。
深い深いキスをして、御幸くんの舌が逃してくれない。
ドサッと押し倒されてから離れた唇。
銀糸みたいにふたりの間に渡っている。
ジャージの襟元を噛んで、片手でジッパーをおろしていく姿にドキッとした。
Tシャツも脱ぎ捨てて、薄暗くした部屋の明かりに照らされた御幸くんの鍛え上げられた肉体がとても綺麗。
思わず腕を伸ばして抱きついた。
「くっつかれたら、気持ちよくしてあげられねぇだろ?」
