• テキストサイズ

ダイヤのA 御幸一也

第54章 御幸塾


御幸くんと沢村くんのやり取りを片付けながら聞いていた。

「これからナンバーズの練習ですか。
御幸先輩も大変ですね。自分の練習もあるはずなのに。
舞先輩だって、寂しいでしょ?」

春市くんが私にも話を振ってきた。

「そうでもねぇだろ?あいつももう腹括っとるみたいやし、こいつのこの顔見ろ。なんか嬉しそうやろ?」

親指でくいっと私を指差す。

「そう?嬉しいっていうか、なんかうまくいきそうだなぁってワクワクしてるのかも。
寂しくないよ。ほっとかれてるわけじゃない。」

「ほーんと、お前出来た彼女だよなぁ。」

頭に重みがかかって、ぐえと変な声が出た。

「倉持くん、重い!首折れる…」

人の頭を肘置きにしないで…。

「手、空いたなら俺のも投げて。室内でTやっからよ。」

「オッケー!」

優しいんだよね。倉持くん…。
御幸くんが室内練習場に行ったから、私の事もこうやって誘ってくれる。

「ありがとう。」

「あ?なんかしたか?」

「んーん!今日は何箱でも投げるよ!とことん付き合う。」

なんだそりゃと倉持くんは笑っていた。


沢村くんの投球練習を監督が見に来て、ゴールデンウィークの練習試合で白龍戦の先発を任命されていた。

3日後?!となにやら不満そう。
白龍との練習試合で先発の意味ちゃんとわかってるかな?と些か不安になった。

沢村くんがダウンをして、時間が出来た御幸くんは倉持くんの所に。

「ありゃ、大きなチャンスもらったってわかってねぇよな…」

「バカだからな…。」

ふぅーと二人ともため息。

「倉持ー、舞ちゃん貸してくれるか?」

「今日は倉持くんにとことん付き合うって決めてるから、だーめ。」

はぁ?と御幸くんも不満顔。

「いいよ、沢村がちゃんと休んでるか確認しとかなきゃいけねぇし、集中力切れたから俺ももう上がる。
御幸に付き合ってやれ。」

じゃ、おつかれーと倉持くんは練習場を後にした。

「面倒見いいよねー。」

「意外とな?」

御幸くんの練習に付き合ってから、遠征の準備がちゃんと出来ているか再チェック。

こっちでも練習試合組んでいるし、後輩たちが慌てないようにしとかないとな。

/ 362ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp