第54章 御幸塾
「聞き分け良すぎ。」
「大事な時期だもん。寂しいなんて言ってられないでしょ。」
会えなくなるわけじゃない。
クラスでもグラウンドでも御幸くんに会える。
別に別れるわけじゃない。
「行こうね、甲子園。」
「また必ずあの場所に立つ。
舞ちゃんにも甲子園のベンチからの景色見せたい。
夏川にも見せてやりてぇな。
甲子園は順番にベンチ入りすればいいのに。」
「まずは都大会。豪腕の好投手揃いなんだから、それ打ち崩さなきゃその先はないよ。」
「だな。」
そう言ってくれるのは嬉しいけど、幸ちゃんが一年近くずっとスコアつけてくれてたんだもん。
やっぱり最後まで幸ちゃんがやるべきだよ。
もし、私にスコアラーの順番が回ってきても選手の誰かがベンチに入ったほうがいいと思う。