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ダイヤのA 御幸一也

第54章 御幸塾


「今夜も御幸塾するの?」

「塾ってほどじゃねぇけどな」

「私も参加していい?」

野球は小さい頃から身近だった。
たくさん試合も見てきた。
でも、野球をもっと知りたい。もっと教えてほしい。
そういう気持ちになって私も参加を志願した。
御幸くんは笑っていいよって言ってくれた。

人数も増えてきて、今日は由井くんも参加してホクホクとした顔で帰っていく。

一息ついて、バッティンググローブをはめている御幸くん。
今からバット振りに行くんだ。
バッティンググローブをはめてバットを握るまでの動作がなんたか色っぽくて思わず見入ってしまった。

「たまには俺に付き合えよ。
舞ちゃんもおいで。」


御幸くんがいつもバットを振ってる場所。
階段を上がりながら、沢村くん降谷くんに、明日から練習で自分以外のキャッチャーと組めって言った。

職務放棄だと降谷くんに言われていたけど、二人を納得させて御幸くんはバットを振り始める。

自然と私は数を数え始めた。


「はい、500!」

「サンキュ、助かった。」

「え、ねぇさんずっとスイング数数えてたんですか?そんな事頼んでましたっけ?」

「うん、御幸くんが私を連れてきたってのはそういう事かなって。
誰かが数えてたほうがスイングに集中できるし。」

「それは甘えすぎでは?」

「いいだろ?それくらい。お前らはもっと誰かに甘えっぱなしだろ?」

金丸くんの顔が浮かんだ。
2年になってから2人と同じクラスになって、同時に勉強見てやれねぇから普段から授業しっかり受けとけと活を入れている。
居眠りしたら、監督に報告するからなって言われてたのを思い出した。


「じゃ、舞ちゃん送ってくよ。話しあるし。
お前らも早く帰ってさっさと寝ろよ!」


私の手首を掴んで歩き出した、御幸くんの早足に小走りで追いかけた。

手頃なベンチに座った御幸くんは、何か言いたそう。

「御幸くん、いいよ。
沢村くんたちの練習に付き合うから、私との時間が減るって事なんでしょ?」

「まだ、なんも言ってねぇのに。」

わかるよ。御幸くんが考えてる事。
言いにくそうにしてるし、さっきの会話を聞かせたって事はそういう事。

「御幸塾には、参加させてね。」

「送っていけなくなるかも…」

それはもう本当に大丈夫。
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