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ダイヤのA 御幸一也

第51章 先輩の言葉


全体練習が終わったあと、降谷くんが御幸くんに練習に付き合ってくれって頼んでいた。

沢村くんは俺が先だったと、猛抗議。

御幸くんは先に降谷くんを優先した。
悶々としているのがわかる。

降谷くんの練習を見学させてもらっていた。
御幸くんは何か確かめたい事があるから引き受けただろうし、私は彼のピッチングの力みが何なのか知りたかった。


「先に約束していたのは俺なのになぁ!!」
室内練習の中にいる3人に聞こえるように言う沢村くん。

「キャプテンと先に約束していたのは、矢代先輩ですよ。
ランニングの約束してましたよね?」

「え、いやでも投手の練習に付き合うのは当たり前だし、私は後でも全然平気。」

びっくりした…奥村くんが急に現れた。
そして、沢村くんのアップに付き合うって言ってきた。

この2人見てて飽きないなぁ。
クスクス笑う私を2人ともジト目で見てくる。
ごめんなさいと謝ったら、ドーンとすごい音が聞こえてきた。
視線を2人に戻す。
御幸くんのミットはいい音を立てている。
でも、ちょっと怒ってるみたい。

「降谷、お前甲子園で何を見た?」

御幸くんの問いに降谷くんは、あの日以上のピッチングを手に入れたいと言った。

高みを目指すのは素晴らしい事だけど、進むのは茨の道。

よくわかった、練習はここまでと降谷くんを突き放した。

「えー、もう無理お腹いっぱい。
気持ちが空回りして、地に足がついてないやつの球受けんの結構しんどいのよ。」

由井くんに、受けてても楽しくないよな?と振っていて、私にも視線を移した。


「舞ちゃんは、どう思う?
投球練習してると目をキラキラ輝かせていつも見てるのに今日は難しい顔してたけど?」

「怪我しないか心配…」

「ほらな。今日は、もうお終い。」

沢村くんに入ってこいと言った。
次の試合の先発も沢村くんに譲ることになると、降谷くんの気持ちを煽ってるように感じた。


「アイシング作ろっか?」

「お願いします。」

「舞ちゃん、あんまそいつ甘やかさないで。」

「アイシングくらい作るよ。行こ、降谷くん」

御幸くんの愛の鞭。
落ち込んでるように見える降谷くんに、アイシングを渡した。

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