第51章 先輩の言葉
練習中、御幸くんを睨む奥村くんがいた。
この前のことが原因かな?
沢村くんとやり合ったあと、御幸くんは奥村くんをキャッチャーとして諭した。
今回の行動は一捕手として反省すべきだと。
沢村くんがどういうやつかは受けてみればわかるという。
野球で語り合えなんて御幸くんらしいな。
たまたまそこにいた私。
練習でバッティングピッチャーをやってくれないかと監督直々の申し出をどうしたものかと、御幸くんに相談しに来ていた。
先輩の言葉として、奥村くんにはどう伝わったのかな。
御幸くんの本意がちゃんと伝わってればいいのに。
で、このあと、バッティングピッチャーとして投げなければいけないんだけど…、ほんとに私でいいんだろうか…。
この前のグラウンドでの事、監督は見ていたらしく、御幸くんが言う前に私にやってくれないかと頼んできたみたい。
そう言われたら、もうやるしかない!
役割を与えてくれたんだから、それに応えたい。
ボールケース2箱分投げて、交代した。
「矢代先輩、俺の苦手な球種やコース知ってたんですか?」
「もちろん。みんなの事1番近くで見てるもん。東条くんのもわかるよ。」
「マジですか…道理で打ちにくいと思った。ていうか、そこにしか来なかったんですが…」
「御幸くんからのご要望ですので。苦手なコース限定で投げてやれって。」
金丸くんと東条くんがダウンに付き合ってくれた。
「明日も投げますか?」
「投げろと言われれば…」
「明日こそ、必ず打ちます!」
「明日勝負しよ。」
そうは言ったものの、体力がないのは一目瞭然。
ちゃんと鍛えてないと2箱はきついなぁ…。
筋肉痛にならなきゃ万々歳だ。
「舞ちゃん、練習終わったらランニング付き合おうか?」
「ほんと?ていうか御幸くんやっぱエスパー?走らなきゃなぁって思ってるの見抜いた?」
「投げてる時、顔がマジだったもん。真剣な顔、かっこよかったぞ。
体力付けなきゃなって思ってるの顔に出てたし。」
練習後に一緒に走る約束をした直後、沢村くんが練習後に御幸くんに受けて欲しいって頼んできた。
「わりぃ、ランニング沢村の後でもいいか?」
「もちろん。選手優先なのは当たり前だよ。」
「先に走るの禁止な。俺と一緒に行くの。わかった?」
わかったわかったと返事をして、私はマネージャーの仕事に戻った。
