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ダイヤのA 御幸一也

第5章 一年生 ⑤


御幸くんが、私の家でエプロンしてフライパンを振っている。

なんだろ、絵面が信じられない。

手際いいし、重たいフライパンをいとも簡単に振っている。
さすが男の子。

「なんかすごいの見ちゃった。」

「ギャップ萌え?」

「萌えてはない、断じて。」

スープを隣で作りながらそれはないと断言した。


年末年始の特番を見ながらゴロゴロしているととても眠たくなってくる。

御幸くんの作ったチャーハンはとても美味しかった。
今まで味わったことない、お正月だなぁ。


「舞ちゃん、このノートなに?」

「みんなの練習した内容とか、いろいろ。」

貴子先輩がつけていたノートと同じような感じ。
主力の選手たちは貴子先輩が記録してくれていてくれるから、私は同じ一年生の練習内容を書いていた。

内緒にしていたのに、眠くて眠くて、あんまり頭から回ってなかったから、ついしゃべってしまった。

「え、待って!見た??」

いきなり我に返って、マジマジと見ている御幸くんからノートを奪い取る。

「俺が一軍に入った日とかノリが初ブルペンに入った日。
全部書いてあんの?」

「恥ずかしい!見たこと忘れて!」

「4月からずっと?まじで?!白洲や倉持の2軍の練習試合デビューまで…」

もう、やだ。
誰にも見せるつもりなかったのに…。

恥ずかしくてクッションに顔を埋めた。


貴子先輩の真似だもん。
唯ちゃんや幸ちゃんだってやってるよ。

一人で全員を見てられるわけじゃないし。
私達の学年は3人いるし、みんなで支えていけたらいいなと思ってる。

「冬練の時、こんな苦しくてキツイの意味があるのかって、心折れかけた。でも、乗り越えたら必ず得られるものがあるはずと奮い立たせたんだ。
俺達のあの苦しい思いをこんなに見守ってくれてる人達がいるってすげぇわ」

「マネージャーみんな…頑張って欲しいって心から思ってる」

「うん、伝わった。サンキュー。」

照れくさくて、顔上げられないじゃない。


「もういいでしょ?返して。」

日記を見られたみたいで恥ずかしい。


「俺が一軍に選ばれた時、おめでとうって書いてあんの、みーつけた!」

「ほんと、やめて…」

取り返そうと向きになったら、揉み合いになって、「あっ…」と声が漏れたと思ったら…。


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