第48章 御幸の気持ち ⑦
散々出し尽くしたはずなのに、一瞬にして下半身に集まる熱をなんとか制御した。
舞ちゃんを抱きしめて、彼女のニオイに包まれながら目を閉じるとあっという間に眠りにつく。
早起きの習慣て恐ろしい。
こんな時間に起きることないのに、自然と目が冷めてしまう。
舞ちゃんは腕にしがみついているし、足は絡んでる。
隣のベットにルームメイトがいなかったら、襲われてるんだからなと頬にかかった髪を耳にかけながら思う。
ルームメイトが起きる前に、こっそり部屋を抜け出して、腰が痛いとよたよた歩く舞ちゃんに付き添って部屋の前まで行った。
「巨摩大の偵察よろしく頼むな。
ナベ達と逸れて迷子になるなよ。」
「ならないよっ!たぶん…」
自信がなさそうだけど大丈夫か?
心配していたことが的中して、半べそをかきながら、榎本とナベの制服の裾をしっかりと握って帰ってきたのには、笑った。
「人の波がね、ドバーッで…怖かった。
幸ちゃんが手を掴んでくれなきゃ、迷子になる所だったよ…」
「矢代は方向音痴なの自覚した方がいいよ。」
苦笑いのナベ、先に行かすと反対方向に向かおうとするらしく、大人しく後ろからついてきてもらったらしい。
「で、どうだった?」
現地で見てきた3人に感想を聞いた。
なるほどね。やっぱ避けては通れない相手だな。
「舞ちゃんは?」
「ピッチャーの本郷くんにどうしても目が行きがちだけど、キャッチャーの円城蓮司くん…彼は凄いと思う。
あの希少の荒そうな本郷くんをリードしてるし、バッティングもいい。」
おい…舞ちゃん…。
君がキャッチャー好きなのはわかってる。
だから、余計に面白くない。
「御幸の協力なライバル出現かな?」
ナベ…笑ってんじゃねぇぞ…。
「確かに、キャッチャーフェチの舞には堪らんよねぇ。
しかもメガネ男子でイケメン。御幸と外見も被ってるし。」
榎本…お前まで…。
「別にキャッチャーだからってだけで御幸くんの事好きになったわけじゃないから。」
はーい、俺の負け。惨敗。
サラッとそういう事言うなよな…。
情けないけど、力が抜けてヘナヘナと座り込んでしまったじゃねぇかよ…。
しかもそれをナベにと榎本に見られた…。
あー、恥ずかしい…。