第48章 御幸の気持ち ⑦
「無理させちまったかなぁ…」
気持ちよさそうにスヤスヤ寝息を立てている舞ちゃんの背中をトントンしながら、若干の後悔に襲われる。
何回出したかなかんて覚えてねぇ…。
ただただ、舞ちゃんの表情、身体、仕草全てに欲情した。
ルームメイトが気を利かせてくれて良かったと心底思う。
ここがどこなのか一瞬わからなくなってた。
コンコンと小さなノックがして、ソーッとベットを抜け出した。
「消灯時間だから戻ってきたんだけど、他の部屋行ったほうがいい?」
「悪いな。舞ちゃん寝ちゃってさ。疲れてるみたいなんだ。
さっき寝たばかりだからまだ起こしたくねぇんだけど、気にしないならいてくれても構わねぇよ」
「疲れてるだろうなぁ。昨日こっちに移動してきて、さっそくスコアつけに借り出されてそのまま応援してたんだもんな。
ホテルに帰ってからだって、ユニホームの洗濯や食事の準備の手伝いに走り回ってたもん。
御幸、お前ほんといい子捕まえたよな」
彼女がつけた配球表をペラペラめくりながら、ルームメイトは舞ちゃんを労っていた。
「マネージャー達がいなかったら、もっと大変だっただろうし、野球にだけ集中するなんてできてなかったよな。」
「そうだな。」
スヤスヤ眠ってる舞ちゃんの頭をなでると、寝顔がさらに穏やかになった。
「マネージャーを喜ばせる為にも明日、頼んだぞ」
「おぅ」
ふぁぁと一つあくびをしてもう寝るわとベットに潜り込む。
しばらくすると定期的な寝息が聞こえてきた。
極力小さな音量でテレビをつける。
向こうではやってない番組を見るのが密かな楽しみだった。
テレビを見ながら、舞ちゃんに視線を落とす。
ベットに置いた手に舞ちゃんが手を重ねた。
寝ぼけてるのか、頬ずりしてくるのがたまらなくかわいい。
手を握り返してサラサラな髪の毛に指を通す。
無防備な寝顔にキスを落とした。
ゆっくりとまぶたが開いて、まだぽやぽやしていた。
「まだ寝てていいよ。消灯時間過ぎてるから外歩いてるの見つかったら叱られちゃう。」
「御幸くんと同室の子は?」
「もう戻ってきて、寝てるよ。」
ルームメイトを起こさないように、小声で話す。
「御幸くんも一緒に寝よ」
そう誘われて一瞬ドキッとした。