第46章 試合後の夜に
降谷暁の名前が全国区になると確信する内容のピッチング。
アルプスにいてもわかる、降谷くんのボールの凄さ。
球場全体が驚いてる。
「凄い!勝った!」
「やったね!」
校歌が流れて、勝ったんだとジワジワ実感した。
肩を組んで声がかれそうなくらいの大声で歌った。
アルプスに駆け寄ってくるみんなを拍手喝采で迎える。
御幸くんが少し遠くに感じてしまった。
なんていうかな…見えない壁があるみたい。
アルプスからはける時に、クリス先輩、亮介先輩、純先輩に会った。
選手のみんなと話している先輩達。
亮介先輩の手刀が頭に当たる。
「勝ったのに泣かないの。」
「嬉しくて…感動してました。」
まだまだこんなもんじゃない。もっと上を目指せる。
みんなは全国制覇を目指して辛い練習も耐えてきた。
その一歩目、初戦を取ったからつい嬉しくて泣いてしまったのを亮介先輩に見られていた。
「まだ早いよ」
「ですね。」
先輩達も一緒にホテルに戻って、今日の試合の感想を話して盛り上がった。
「おめでとう、お疲れさま」
「やっぱ、甲子園で野球するってすげぇな。」
御幸くんのテンションもいつもより高い。
興奮冷めやらぬまま自由時間になった。
日本庄野の試合の配球表を届けに御幸くんの部屋に向かう。
「舞ちゃん!どした?」
「これ、渡すの忘れてた。」
「ちょうどよかった。取りに行こうって思ってたんだ。」
御幸くんと同室の子が気を利かせてくれて、二人きりにしてくれた。
「明日、ナベたちと巨摩大の試合見に行くんだっけ?」
「うん。幸ちゃんと3人で。」
去年の夏の覇者。秋の神宮大会も制して、センバツもダントツの優勝候補。
「本郷の事も気にはなるが、まずは2回戦。日本庄野だよな。」
スコアブックと配球表を並べて眺めている御幸くん。
御幸くんの横顔ってほんと綺麗だよなぁ…
あ、いかんいかん。見惚れちゃってた。
「熱い視線で見つめられたら照れる…」
ありゃ…バレてた…。
スコアブックに集中してたのに、邪魔しちゃったかな。
「いろいろ言いたいことがあるんだけど。
まず一つ、髪をちゃんと乾かせ。」
お風呂入ってる時に配球表の事を思い出した。
「早く届けなきゃと思って…急いで来た。」
「2つ目…。」
突然距離が近くなった。