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ダイヤのA 御幸一也

第45章 複雑な想い


俊平にバイバイを言って、帰る準備をした。

明日が抽選会か…どこと当たるんだろう。
御幸くんがいいくじ引けますように。

ナベちゃんから連絡があって、1回戦の相手は九州代表宝明高校だと知らされた。

「確か、九州ブロックの準決勝と決勝の試合スコアブックに落としてたよね?部長のパソコンにデータ送ってくれる?」

「わかった。すぐ送るね。ちょっと待ってて。」

送信ボタンを押して、私もスコアブックに目を落とす。
相手が決まっていつまでも浮かれてるわけにはいかないと気持ちを引き締めた。


試合の前日にみんなと合流する。

「舞ちゃん。」
ホテルの最寄り駅に迎えに来てくれた御幸くん。
なんだかんだで一週間ぶり。
「御幸くん…よかったー。つかないかと思った…」

普段電車なんてなかなか乗らないし、こっちの土地感もなくて危うく迷子になりかけた。

「方向音痴?!」
「明日みんなと一緒に来ればよかった…」

青道の試合の前の試合のスコアをつけておいてと頼まれて、学校に残ってたみんなより一足先に甲子園入りをした。

「なんだよ、舞ちゃんに早く会いたかったの俺だけかよ…」
「だって…阪急電車と阪神電車ってなに?
ややこしすぎない?!わかんないよ…一人で心細かった…
御幸くんが改札にいてくれて安心した。」

電車を乗り間違えそうになって、一人でパニックになりかけていた。

「それはそれはお疲れ様でした。
荷物貸せ。思いだろ?」

「大丈夫だよ。自分で持てる。」

「いーから。手、塞がってたら繋げないだろ」

手を繋ぎたいから荷物持ってくれるって事か…
敵わないなぁ…

この季節の夕暮れ時は少し寒くて、繋いだ手からポカポカしてくる。
顔まで熱いから…多分真っ赤になってるんだろうな…。

遠回りして甲子園球場に寄って、2人で写真を取った。
アングルが難しくて、ただのツーショットになってしまった感が否めない。

約束していた神社にもお参りをした。
青道の必勝祈願
みんなが怪我なく楽しく甲子園で野球ができますように。

「随分熱心に願ってたな。何お願いしたの?」
「内緒。願い事は口に出しちゃいけないんだよ?」
「言霊って言葉もあるけどな」
「そっか…でも、言わなーい」

おしゃべりしながらだと、遠回りした道のりもあっという間だった。

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