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ダイヤのA 御幸一也

第45章 複雑な想い


「舞姉さん!ご苦労様です!」

「あはは、相変わらず元気だね。沢村くんがいないとグラウンドも寮もすごく静かだよ」

「お前がいない方が静かでいいってさ」

「舞姉さんはそんなこと言ってねぇだろう!」

沢村くん、沢村くん…
御幸くんは先輩だよ。

じゃれ合いを眺めていたらナベちゃんがお疲れさまーと寄って来た。

「矢代がスコアに落としておいてくれたから、すごく助かったよ。
配球表も相変わらずばっちりだね。」

「宝明の弱点とかなんか見つかった?」

「選抜に出てくるだけあるけど、付け入る隙は十分あるよ。
準備はばっちり出来た。後はグラウンドの選手達がどこまでやってくれるかだね。」

ナベちゃんのそのセリフを聞いて御幸くんは沢村くんを引きずっていった。

「さてと、素振りでもしてくるわ。舞ちゃんは移動で疲れてるだろうしゆっくりしてて。」

「いってらっしゃい。あとで私も行くね。」

荷物の整理をしたり、着替えたり。
夕食の時間が迫ってきて下に降りても御幸くん達はまだ帰ってきてなかった。

「あいつ、呼んできてやって。」
倉持くんにそう言われて、公園に探しにいった。

そこには怖い顔をしながら一心不乱にバットを振ってる御幸くんがいた。
なんだかいつもと違う雰囲気だったから、声をかけられないでいた。

「あっ、舞ちゃんか…いつからいたの?」

「今、来た所…
なんか怒ってる?」

「違う違う!集中してただけ。」

沢村くんに帰るぞーと声をかけて御幸くんはホテルを目指す。

「あー、腹減った…
舞ちゃん、夕食終わったらちょっと抜け出そう」

「いいの?ミーティングとかは?」

「今更ジタバタしても仕方ねぇよ。準備もしてきた、やれることをしっかりやる。それだけ。」

夕食を食べてそれぞれ自由時間に、御幸くんと散歩に出た。

「近くに海あるんだ。そこまで行ってみよ。」

さすが西宮だなぁ。
すぐそこが海なんていいな。
青道は海からは少し離れてる。

「うわぁ…綺麗。」

海面に月明かりが反射してキラキラしていた。

「舞ちゃんこういうの好きだろ?」

「好き。ずっと見てられる。」

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