• テキストサイズ

ダイヤのA 御幸一也

第45章 複雑な想い


「そういや、青道の泊まってるホテルとうちのホテル結構近いんだぜ。」

「御幸くんも言ってたよ。公園で鉢合わせしたって。」

「うちの雷市とそっちの沢村がうるさくてさ。近所迷惑だって言ってんのに、お互いヒートアップしてんの止めるの大変だった。」

「なんか目に浮かぶなぁ」

俊平とのおしゃべりはとても楽しくて、沈んでいた気持ちも軽くなる。
タイミングがいつもいいんだよね、俊平って。
兄貴と喧嘩して泣いてる時、たまたま通りかかったり、どうしてもまだ野球がやりたいって気持ちを捨てきれなかった時、ふらりと現れて話を聞いてくれた。

「俊平、ありがと。」

「なんだ…やっぱなんか悩んでたんだ。俺がフッと舞を思い出す時っていつも困ってる時みたいだしな。
何に悩んでる?言ってみ?」

「大したことじゃないし、まだなにも起こってないの。
悪いように想像しちゃって、勝手に不安になってるだけ。
だから、大丈夫だよ。」

ずっと一緒だったけど、これから先もずっと一緒にいられるわけないってわかってる。

1年後は私達はもうここにはいない。

別々の道を選ばなきゃいけない。
御幸くんが隣にいないことにも、慣れていかなきゃいけないんだ。

「なんとなく、わかった。
選抜での活躍次第だけど、御幸が注目されんのは必須だぞ。
なんせイケメンだし、キャプテンで4番。キャーキャー言われんぞ。
それも面白くねぇんじゃねぇの?」

「俊平もきっとキャーキャー言われるよ。マウンドでの俊平別人だし、ギャップにやられちゃう女の子多いんじゃない?」

「見た目だけでよってくるような奴に興味ない。」

御幸くんも同じような事言ってたっけ。

性格悪いってあの子達は知らないから、それでも好きって言ってくれる舞ちゃんを俺は大事にしたいって恥ずかしげもなく…。

嬉しかったけど、自分で性格悪いって言っちゃうんだってクスッと笑ってしまった。

「ま、中には過激なファンもいるからな。気をつけろよ。」

「大丈夫、大丈夫。
試合、がんばってね。応援してる。」

「舞、俺のこと応援してくれんの?」
声がワントーン上がった。
「私は俊平のことずっと応援してるよ?」

「へへ、すげぇ嬉しい。気合い入った。サンキュー。」


/ 362ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp